『ミティア・クレーター・ナチュラルランドマーク』、通称「アリゾナ大隕石孔国定記念物」はアメリカのアリゾナ州北部にある、直径約1,000メートル、深さ165メートルの強大なクレーターです。
短い滞在時間で楽しめる人気の観光スポットで、グランドサークルの行程に組み込みやすい場所です。
『アリゾナ大隕石孔』ミティア・クレーター・ナチュラルランドマークとは?
アリゾナ州にある隕石の衝突によってできたクレーターが目の前で見える観光名所です。
この場所では巨大なクレーターが見られる展望台だけでなく、地球上にあるクレーターや隕石にまつわる知識を学ぶことができる博物館になっています。
またクレーターを外周出来る体験ツアーもあり、見て体験して学べる場所です。
◼️クレーターの起源について
今から約5万年前に直径45メートルの重さ30万トンの鉄金属隕石が大地に衝突しました。
隕石落下のスピードは秒速12kmの超高速で、大地の衝突と共に半径数キロにあった動植物が一瞬で昇華してしまうほどのエネルギーだったと言われています。
その規模は広島の核爆弾の150倍だそうです。隕石は衝突と同時に融解し、半分はクレーターの外に飛び散り、残りは岩石と混ざったり、細かく地中に分散されたりしたそうです。
目の前に広がるクレーターの光景は圧巻!
『アリゾナ大隕石孔国定記念物』の最大の特徴は衝突後の状態のクレーターが眺められることです。
隕石が衝突して50,000年以上経った今も草や木が生えず、当時の姿を残しています。その主な要因は降雨量の少ない乾燥地帯です。
雨による大地の浸食が少なく、アリゾナ特有の砂漠地帯のため、長い年月が経ってもクレーターの状態が良いのです。
目の前に広がるクレーターは圧巻の光景です。クレーターの縁(リム)に建っている博物館を通り抜けると壮大な光景が広がります。
写真①はアリゾナ大隕石孔のパノラマ風景です。展望台は3ヵ所あり、高低差の異なる場所からそれぞれの風景を楽しむことができます。
展望エリアからクレーターの中心まで距離およそ500メートルもあり、反対側のクレーターの端までは1,000メートルです。
クレーターは写真1枚に写る範囲を越えてしまうため、全体がわかるように写真を3枚つなぎ合わせてパノラマ風景にしました。綺麗に曲線を描いたクレーターが目の前に広がっています。
高さの異なる3か所の展望台があり、それぞれ見え方が少し変わります。上の写真は一番高い場所から見たクレーターの風景で、クレーターの縁と同じ高さから見た光景です。
まずは全体風景を見たいなら一番上の展望台がお勧めです。
クレーターの縁から少し下った場所にある展望台から見た光景です。クレーターの中にいるため、より近い距離からクレーターの風景が楽しめます。
クレーターの縁を歩けるガイド付きのツアーがある
1日に定期的にクレーターの縁を歩けるツアーが催行せれています。1度に約20名ほどが参加でき、1時間ほどのツアーとなります。
縁を歩くだけでなく、ガイドがクレーターにまつわる歴史や知識をプレゼンしてくれます。ツアー中は英語ですが、苦手な方でもジェスチャーで何となくニュアンスや熱意が伝わってくるでしょう。
クレーターの縁は大きな石や砂利で足場が悪いです。足首をひねって捻挫をしないようにトレッキングシューズで歩きましょう。
また、日差しが強く気温も高いため、下記4項目を参考に熱中症対策をしましょう。
- 帽子
- サングラス
- 日焼け止め
- ボトルウォーター1本
外は日影がほとんどなく、日中は雲が無いため常に直射日光にさらされます。夏場は特に注意しましょう。
正直、このツアーに参加しても見えるクレーターの景色はほぼ変わりませんので、展望台から見る景色で十分です。
その他、この場所で体験できること
■資料や展示物のある博物館で隕石にまつわる知識を学べる
博物館は図や絵に説明がついたパネルが点在するだけでなく実際の隕石や映像など、視覚的にもわかりやすくなっています。
どうやって隕石が衝突してクレーターになったかなどの過程や世界で見つかった隕石孔の情報などを学ぶことができます。
■バリエーションが豊富なギフトショップ
隕石や鉱物にまつわるお土産、Tシャツやマグカップ、本、地質学から科学のグッズなどあらゆるものが揃っております。この博物館に行かないと手に入らないモノがあるかもしれません。
アリゾナ大隕石孔に行く前に知っておきたい事前知識
アリゾナ大隕石孔を計画する際に知っておきたい情報を紹介します。
■施設の営業時間は?
施設の営業時間は8時から17時までとなります。状況によって営業終了時間が16時になることもあります。
■滞在時間
滞在時間は2時間~3時間程度です。この時間の目安はクレーターの景色を見て博物館を回る所要時間を目安にしています。
どんなにじっくり見学をしても半日もかからないでしょう。そのためグランドサークルの経由地点としてこの場所を選びやすいのです。
■お勧めの時間帯
お勧めの時間帯は午前中からお昼間です。展望台はクレーターの南側にあり、太陽がしっかりとクレーターを照らしてくれます。
営業時間は17時までなので、時期によっては夏場は夕暮れ時の光景は見れません。初めて訪れるならお昼間までに行くことをお勧めします。また午前中で入場すると隕石のパノラマビューを独り占めできる確率が高まります。
■夏場は熱く日差しが強い、熱中症対策を万全にする
夏場はかなりの高温になり熱中症対策は必要です。帽子やサングラスを身に着け、こまめな水分補給を心掛けましょう。外での長時間の滞在は避け、熱中症の危険を感じたらすぐに博物館で休憩してください。
■冬場は雪や氷で滑りやすい
真冬は雪や氷で凍結しており足場が悪くなっています。ヒールやサンダルは避け、グリップ力のある靴で行きましょう。
■入場料はWEBサイトから事前購入可能
コロナ禍の影響で可能な限り接触を減らす対応をしています。当日窓口でチケット販売もしていますが、WEB購入がお勧めです。
以前はWEB購入がお得でした。ただし、WEBでの事前購入は返金不可のためご注意ください。
※物価高の影響で料金が大幅に上がっています。2024年4月4日時点の最新
年齢 | 窓口購入 | WEB購入 |
---|---|---|
5歳以下 | 無料 | 無料 |
6~12歳まで | 20ドル | 20ドル |
13歳~59歳まで | 29ドル | 29ドル |
60歳以上 | 27ドル | 27ドル |
個人的にはちょっと高いですね。2008年頃の入場料はもっと安かったです。今では大人4人で116ドル(17,400円=1ドル150円場合)なので、少しぼったくり感はあります。
■食事する場所はあるか?
博物館内に1か所だけ食料を購入できる場所があります。ここではピザやサンドイッチ、フレンチフライ、サラダやスープなどの軽食があります。しかし軽食の割には金額も観光客向けで高めのため、事前にどこかで軽食を購入するか、先に済ませてから観光しましょう。
■アクセスしにくい場所にある
正直このクレーターだけのために行くのは非常に効率の悪い場所にあります。アクセス方法は車のみとなり、ラスベガスからは休憩なしで片道4時間30分、アリゾナ州都のフェニックス(Phoenix)からでも3時間の距離です。
そのため、アメリカ国立公園などを巡る旅であるグランドサークルを目的とした場合、次の目的地へ向かう道中に立ち寄る程度の観光スポットになります。いわば寄り道程度で訪れる場所ということです。
クレーターの近くは何もなく、主要な場所からの距離感を下記の早見表にまとめました。
近場のスポットや街 | クレーターまでの所要時間 |
セドナ/Sedona(街) | 1時間50分 |
グランドキャニオン国立公園 | 2時間30分 |
化石の森国立公園 | 1時間20分 |
フラッグスタッフ/Flagstaff(街) | 50分 |
ホールブルック/Holbrook(街) | 1時間 |
■クレーターを経由するおすすめのグランドサークルの道順
アリゾナ大隕石孔記念物単体ではアクセスが非常に不便です。しかしながら、グランドサークルでは行きやすい観光スポットになります。
例えばセドナやグランドキャニオンを朝に出発すれば、午前中の早い時間には着くことができます。
また、『化石の森国立公園』を観光した後にホールブルックの街に泊まり、翌日午前中に観光することでセドナやグランドキャニオンへの移動がスムーズになります。
■クレーターの中央に採掘跡地があり、『バリンジャー・クレーター』とも呼ばれている
1902年にバリンジャー氏がクレーターの中心に隕石が埋まっているだろうと信じ、クレーターと周辺の土地の所有権を得ました。
彼は隕石の発掘に26年間の歳月を費やしたにもかかわらず、結局お金になるような大きな隕石を見つけることができませんでした。最終的には資金が底を尽き、万策尽きて亡くなってしまったという経緯がありました。
後の研究で隕石の大部分は空中で大爆発を起こし、わずかに残った隕石が衝突してできたクレーターであること、そして残った隕石も衝撃と共に気化、あるいは融解し、細かくクレーターの外に飛び散ってしまったことが判明しています。
当時はまだ隕石の研究や知識が未熟だったため、バリンジャー氏が費やした年月は徒労に終わりました。
しかし、そういった失敗や経験が蓄積されて今日の科学に発展しています。
今では貴重な記念物に指定されたこの場所は、日本の教科書にも載っており、クレーターは今もなお貴重な研究資料です。
そのため、通称『バリンジャー・クレーター Barringer Crator』とも呼ばれています。
その他の光景
■外側の風景
Meteor Creator Roadから見た、隕石孔の外側の風景です。盛り上がった部分が見えてきます。
アクセス方法
■州道(I-40)を経由してアクセス
フラッグスタッフ(Flagstaff)の街を縦断しているI-40を東に38マイル(60km)ほど進み、Meteor Creator Road(メテオ・クレーター・ロード)を右折してしばらく一本道を南下した場所にあります。
I-40を東側から向かう場合、Holbrookの街を越え、Winslowの街を20分ほど進み、Meteor Creator Roadを左折した先にあります。
近隣の宿泊施設情報
グランドサークルでアリゾナ大隕石孔を訪れる場合、行程によって近隣の街で宿泊が必要になるケースがあります。
例えばグランドキャニオン国立公園サウスリムを出発し、この地を経由して『化石の森国立公園』を観光する場合、『化石の森国立公園』の手前にあるHolbrookという街で宿泊するとよいでしょう。この街はI-40沿いにあり宿泊施設やレストランが豊富にあるため、移動先での滞在には困りません。
一方、『化石の森国立公園』から『アリゾナ大隕石孔』を経由し次の目的を目指す場合、『グランドキャニオン国立公園』へ行くなら手前にあるFlagstaffかWilliamsの街に泊まりましょう。Flaggstaffは結構大きな街で、Williamsは田舎町となります。それぞれ宿泊施設は充実しております。
まとめ
アリゾナ大隕石孔は間近でクレーターを見ることができる珍しいスポットです。とても辺境な地にあり、気軽に行ける場所ではありません。
一方でグランドサークルでの道中で訪れやすい場所にあり、滞在時間も短めなのでお勧めの観光スポットです。エントランスに入ったらそのまま博物館を通り抜けてクレーターのビューポイント最初に目指しましょう。
■この場所で体験できること
- 大迫力なクレーターを目の前で見れる3か所のビューポイント
- クレーターの周りを歩けるツアー
- 博物館の展示や資料鑑賞
- 種類豊富なギフトショップ
■アリゾナ大隕石孔記念物のまとめ
- 入場料(現地): 6歳~12歳まで20ドル、13歳~59歳までは29ドル、60歳以上27ドル
- 営業時間: 8時AM~5時PM(閉館4PMの場合あり)
- 主な見どころ: 展望台から見えるクレーターのパノラマビュー
- 食事スペースの有無: 博物館内に食べる場所あり
- オフィシャルHP: ミティア・クレーター・ナチュラルランドマーク
- 標高: 1,700メートル付近
- 滞在所要時間: 2~3時間程度(景色のみの場合は1時間)
- 駐車場数: 約200台ほど
■熱中症や紫外線対策、冬場の足元に気を付けて
年中乾燥している場所です。常に飲料水を携帯し水分補給を心掛けてください。夏場は気温が高くなります。外は一切日影が無いので帽子やサングラスは必須です。
熱中症になる前に博物館に避難しましょう。冬場は雪や氷で足元が滑りやすくなります。グリップがしっかりした靴で行くようにしましょう。
■最後に
日本の教科書にも載っている『アリゾナ大隕石孔記念物』は訪れる人に強烈なインパクトを与えることでしょう。またグランドサークルで訪れやすい場所としても有名ですが、他の観光名所と異なるため、一度訪れたら忘れられない唯一無二の風景です。是非行ってみてください。