キャニオンランズ国立公園を2倍楽しむための7つの予備知識と見どころを紹介します。
キャニオンランズ国立公園はとても広大で高低差のある崖や複雑な地形が特徴的です。
3つのエリアに分かれていてそれぞれ異なる特徴を持った国立公園です。
その中でも観光客に人気で訪れやすい「アイランド・イン・ザ・スカイ」地区を主に紹介します。
キャニオンランズ国立公園の概要
キャニオンランズ国立公園はコロラド川とグリーン川が交わる場所を中心に東西南北に広大に分布したユタ州にある最大規模の国立公園です。
グランドサークルの一つの代表的な国立公園で、モアブの町を拠点に隣接する「アーチーズ国立公園」とセットで訪れる観光客も多いため、近年人気の観光スポットになっています。
- 1964年に国立公園として正式登録
- 営業時間は通年24時間(繁忙期は5月~9月)
- 入場料は車1台につき30ドル(購入日から3日間有効)
- 公園内の設備:ビジターセンター、トイレ施設、キャンプサイト
- 気候:(通年乾燥地帯)最低平均気温は-6度、最高平均気温は34度(アイランド・イン・ザ・スカイ地区)
- アクセス方法: アイランド・イン・ザ・スカイからモアブの町から車で50分ほど
キャニオンランズ国立公園の最新状況はオフィシャルHPよりご確認ください。
キャニオンランズ国立公園とは?
コロラド川とグリーン川が長い年月をかけて大地を侵食してできた峡谷地帯で、人の行く手を拒むほど深い谷と迷路のような地形が特徴的な国立公園です。
キャニオンランズ国立公園の特徴 - 3つの地区の特徴と3つの高低差のある大地
<3つの地区>
キャニオンランズ国立公園は非常に広大な範囲で総面積は1,366k㎡だそうです。東京都の広さは2,194k㎡なので東京都の62%が国立公園だと仮定するとかなり広い面積だと想像できます。
キャニオンランズ国立公園の地形はかなり複雑でコロラド川とグリーン川、そして2つの川が合流したコロラド川本流によって3つに区分(分断)されています。
上の地図の通りそれぞれ「アイランド・イン・ザ・スカイ」、「ザ・ニードルズ」、そして「ザ・メイズ」という名称で呼ばれています。
お互いの地区間の移動は川で阻まれており、別の地区に行くためには一度国立公園の外に出て迂回をしなければたどり着けません。場所によっては2~6時間の移動が伴います。
<高低差のある3層の大地>
キャニオンランズの大地は高低差のある3層に分かれています。
それぞれ300メートル以上の高低差のある大地で形成されており、上階層はMesa(メサ)と呼ばれるテーブルのように水平な大地で、キャニオンランズの一番標高のある場所です。
メサより300メートル下の中階層は「White Rim - ホワイト・リム」と呼ばれており、長い年月の浸食で残った硬い岩盤が白いことから呼ばれたエリアです。
3番目の最下層はコロラド川とグリーン川が浸食している部分にあたり、ホワイトリムから更に300メートルから500メートル下に位置しています。
3層目は現在も浸食し続けており今後長い年月で更に深くなるそうです。
1. アイランド・イン・ザ・スカイ地区
最も標高のあるアイランド・イン・ザ・スカイは上層階エリアとなります。他の地区より標高が300メートル程高く、メサ(テーブル上の大地)と呼ばれる砂岩で形成された断崖の上にあります。
まるで空中に浮かぶ島のような場所てあることから、Island in the Skyと名付けられています。
このエリアの観光の見どころはビューポイントから眺めるキャニオンランズの壮大な景色です。
各ビューポイント手前に駐車場があり、100メートルほど歩いた先に展望エリアが構えられています。
キャニオンランズ国立公園を訪れる観光客のほとんどは「アイランド・イン・ザ・スカイ」を観光します。
なぜなら拠点となるモアブの町から行きやすく、わずか40分ほどの車移動で向かうことができるため、キャニオンランズ国立公園の3つの地区の中でも屈指の人気を誇っています。
「アイランド・イン・ザ・スカイ」の道路風景
舗装された道路は走りやすくモアブからメサの大地に向かうにつれて徐々に標高が上がっていきます。
メサの大地は標高2,000メートルほどで、ほとんど標高が変わらないまま平行に道が続いています。
このあたりの道の周辺は高い山が存在しないため、まるで天空を走っているような雰囲気でドライブを楽しむことができます。
道路のアスファルトは濃い色合いをしており道路と大地のコントラストが映える風景で、車のCMのロケ地になりそうなシーニックドライブです。
Grand View Point - グランドビュー・ポイント
この地区一番の最南端にあり、キャニオンランズ国立公園全体を見渡すことのできる最高のビューポイントです。
断崖絶壁手前まで車で行けるアクセスの簡便さから人気の場所です。
Mesa Arch - メサ・アーチ
断崖絶壁に自然のアーチができた唯一無二の絶景です。
アーチの奥には中階層の「ホワイト・リム」が見えます。この風景は他にはなく言葉を失うほど素晴らしい絶景が眺められます。
キャニオンランズ国立公園に訪れたら必ず行くべき観光名所です。
また、アーチの奥は東の方角にあり、アーチから出る日の出を撮りに多くの写真家たちが訪れる究極の日の出スポットになっています。
White Rim Road - ホワイト・リム・ロード
上層のメサからオフロードで中下層の「ホワイト・リム」に行くことができます。
ホワイト・リムの大地を走る「ホワイト・リム・ロード」と呼ばれる総全長160㎞のオフロードは様々な自然の景色が広がり、僻地でのキャンプやオフロード・サイクリングを楽しむことができます。
2. The Needles - ザ・ニードルズ地区
キャニオンランズ国立公園の南東のエリアにあり、ニードルズと呼ばれる針のような形状の岩で形成された地帯です。
未舗装の道がいくつも枝分かれしており、その先には手つかずの自然が広がっています。
ビジターセンター周辺はオフロードでも比較的簡単に観光ができますが、このエリアの魅力はオフロードの先にあり、4WDで僻地を進み野営(キャンプ)を楽しむことができます。
News Paper Rock - ニュースペーパー・ロック
「ザ・ニードルズ」地区に入ってすぐの場所にある、紀元前の先住民が残した古代の史跡です。当時の狩りや生活風景が岩壁に描かれた壁画を見ることができます。
道路沿いにあるので「ザ・ニードルズ」を訪れる際は経由していきましょう。観光所要時間は30分くらいです。
Elephant Hill - エレファント・ヒル
ビジターセンターを越えるとエレファント・ヒルに続く未舗装道路をしばらく進んでいきます。エレファント・ヒルまでは乗用車でも行けます。そこからはトレイルで少し進むとニードルズの風景が広がっております。
3. The Maze - ザ・メイズ地区
車高の高い4WD必須のキャニオンランズ屈指の迷宮で、一般の観光客はほぼ訪れることのない場所です。
オフロード愛好家達が州外問わずこの地を訪れ、自前の4WDで僻地を探索しながら野営を楽しむことができるサバイバル系のエリアとなっています。
トイレや水もなければ、頼れるものは地図とサバイバルスキルのみです。1週間は生活できるだけの装備を整え、キャニオンランズの中を冒険します。
ザ・メイズは完全に上級者向けのエリアで、なかなか日本人では行かないエリアです。
キャニオンランズ国立公園への行き方
キャニオンランズ国立公園は3つのエリアに区分されており、各地区へはそれぞれの道からのアクセスが必要になります。
「アイランド・イン・ザ・スカイ」はUS-191からルート313(UT-313)に入ります。そのまま道なりに進むと料金所のゲートが見えてきます。
「ザ・ニードルズ」はモアブの町からUS-191を南下し、ルート211(UT-211)に入り、道なりに進むとあります。
「ザ・メイズ」はルート24(UT-24)からオフロードで「Hans Flat Ranger Station」まで自力で向かい、オフィスで申請をします。(この辺りは実際に行ったことがないので紹介のみとさせていただきます)
キャニオンランズ国立公園で出来ること
<アイランド・イン・ザ・スカイの場合>
■ビューポイントと簡単なトレイル巡り
主要なビューポイントを車で巡る観光が主なアクティビティとなります。すべてを回ると所要時間はおよそ4~5時間くらいとなります。
この地区にある「アップヒーバルドームトレイル/Upheaval Dome Trail」はおすすめです。トレイルの概要や体験レビューは「アップヒーバルドーム体験レビュー」を参照ください。
■上層(メサ)からオフロードで中層エリア(ホワイト・リム)へ
ビジターセンターの手前に中下層のホワイト・リムに続くオフロードがあり、車でキャニオンランズの中心に行くことができます。
ただし未舗装で距離も長くある程度のオフロードスキルが必要なため、ハードルの高いアクティビティとなります。
安全に行くためには4WDの車が必須です。また天候の状態では一度そのエリアに行くと戻れるかどうかわからないためむやみに行くことは避けるべきです。車で行く場合はよく調べてから向かってください。
<ザ・ニードルズの場合>
■オフロードとキャンプ
オフロードと張り巡らされたトレイルが中心で、このエリアでのハイキングやキャンプが主なアクティビティとなります。
観光という目的で訪れる場所ではなく、自然の中で寝泊まりをしながらハイキングをする目的で訪れる観光客が多いです。
<ザ・メイズの場合>
■長期滞在でオフロード中心のアクティビティ
私自身、「ザ・メイズ地区」は一度も行ったことがありません。このエリアは全域で未舗装で、WDが必須となります。道はなく4WDで荒野をひたすら走り抜けます。
この地を訪れるキャンパーは最低でも3日以上、平均1週間くらいは滞在するようです。オフロードのメッカと呼ばれるだけあり、車で行けるところまで行動範囲が広い自由なエリアとなっております。
キャニオンランズ国立公園を訪れる前に知っておきたい7つの事前知識
キャニオンランズ国立公園を訪れる前に知っておきたい事前知識を紹介します。特にこの国立公園は計画性と時間的余裕を持つことで楽しむことができます。
何事も旅行に計画は必須ですが、キャニオンランズ国立公園は早めの計画が大事となります。
①モアブの町の宿泊施設を最優先で押さえましょう。
キャニオンランズ国立公園に行く場合はできる限り早めに宿泊施設を押さえるようにしてください。この国立公園を訪れる観光客の大半は隣の「アーチーズ国立公園」も観光するので「モアブの町」を拠点にします。
様々な飲食店が軒を連なり宿泊施設も豊富にあります。周辺国立公園観光やグランドサークルの拠点にもなるため非常に人気です。そのため人気の宿泊施設はすぐに満室になってしまいます。
②日焼け対策はしっかりと
春から夏場は特に日焼け対策をしてください。ユタ州は年間通して晴天率が高く紫外線量も多いエリアです。特に「アイランド・イン・ザ・スカイ」地区は日影になる場所は殆どなく乾燥した大地のため、日中に行動する場合は日焼け止め、長袖、サングラス、帽子などできる範囲で太陽から身を守ってください。
③レンタカーは4WDまたはSUVクラスを
キャニオンランズは未舗装地帯が多いので、車で行く場合は4WDまたはSUVクラスの車で行くようにしましょう。なぜなら他の国立公園とは比較にならないほど広大な面積に未舗装道路が多い公園だからです。
仮に一般のセダンタイプでも行ける場所はありますが、溝にハマったり車体が乗り上がらないように注意ください。
アメリカでは4WDやSUVタイプは特に人気の車種です。旅行が決まったら最優先でレンタカーを予約しましょう。
*国立公園やグランドサークルをする上でSUVや4WDを選ぶと良い理由に関しては、海外レンタカーで4WDやSUVを選ぶ理由を参照下さい。
④「メサ・アーチ」で日の出を見る場合は日の出の2時間前にモアブを出発しましょう
メサ・アーチまでモアブの街から車で50分ほど掛かります。日の出は少なくとも太陽が地平線から顔を出す30分前から見るのが理想です。そうすると少なくとも日の出の2時間前にはモアブの町を出発するように心がけてください。
夜間に訪れる際の注意点: メサ・アーチでは星空撮影をしている人もいますので、撮影の邪魔をしないように、夜間に訪れる際は眩しくない「赤い光または暖色系ライト」を持って向かいましょう。白い光は暗闇では眩しいため、すでに撮影している人達の迷惑となってしまいます。
⑤公園内にレストランや宿泊施設は無い
一番観光客が訪れる「アイランド・イン・ザ・スカイ」エリアにはレストランや宿泊施設は一切ありません。半日以上滞在するなら、適度に食料や水を車に積んで向かいましょう。主要なビューポイント付近にはベンチとテーブルなどの食事ができるスペースがあります。
⑥キャニオンランズ国立公園の滞在時間は?
「アイランド・イン・ザ・スカイ」で主要なビューポイントへは半日ほど掛かります。各ビューポイントへは5分以内に着くトレイルから往復1、2時間かかるものまであります。
絶対に行ってほしいビューポイント
- メサ・アーチ(往復1時間)/ (日の出の場合は2時間ほど)
- ホワイト・リム・オーバールック(往復1時間)
- バック・キャニオン・オーバールック
- グランド・ビュー・ポイント(往復5分)
- グリーンリバー・オーバールック(往復5分)
- アップヒーバルドームトレイル(往復1~2時間)←おすすめ!
⑦「White Rim Road」を通る場合は事前に予約申請が必要
「アイランド・イン・ザ・スカイ」から中下層のホワイト・リムに車で行くことができますが、この場所に入るためには事前に予約が必須になります。しかしながら一部の道路までは事前申請や予約がなくても行くことができます。
■予約なしで行ける場所: 「Shafer Road」 & 「Potash Road」
Mesaからホワイト・リムまで続く「Shafer Road」と分岐して続く「Potash Road」までは事前申請無しで行くことができます。
「White Rim Road」入口付近で予約許可証がないと進むことができません。
Shafer Roadからはすべてオフロードのため、4WDまたはSUVが望ましいです。Potash Road沿いにある「Gooseneck Overlook」(往復2時間以上)の景色が素晴らしいのでここまでは自力で行ける範囲かと思います。
キャニオンランズ国立公園での注意点
- 「ザ・メイズ地区」は一般観光向けではないため「アイランド・イン・ザ・スカイ地区」を観光しましょう。
- 未舗装道路を走る際は、SUVまたは4WDが推奨されます。未舗装道路を走行する際は道に沿って走ってください。道路の外側は野生植物や土壌が破壊されるだけでなく、タイヤがパンクする可能性があります。
- ナビゲーションが通じない場所がいくつかあるため、頼らず地図を見ましょう。国立公園ゲートまたはビジターセンターで地図を手に入れることができます。
- 各ビューポイントは崖に柵がない場所も多いので、十分に注意してください。
まとめ
キャニオンランズ国立公園は独立した3つのエリアに分かれており、景色中心の半日コースから1週間以上のキャンプを楽しむことができる上級者コースまで様々です。
特に観光客に人気の「アイランド・イン・ザ・スカイ」地区から見える超スペクタクルな景色は言葉を失うほど広大な光景が広がっております。
グランドサークルで巡る箇所の代表的な国立公園として、隣にある「アーチーズ国立公園」とセットで訪れることも多く、アクセスが簡便なエリアとして毎年多くの観光客が訪れます。
また、地質学的にも大変貴重な場所でコロラド川とグリーン川が今も絶えず浸食し、幾層もの地層が露出しています。まさに太古の地球がどういう状態だったかを知ることができるのです。
是非、キャニオンランズ国立公園に行きその壮大な景色を見てください。
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