キャニオンランズ国立公園でコロラド川を目の前から一望できる場所があるのをご存知でしょうか？
ホワイト・リムのある中間層エリアに行かないとその光景を眺めることができませんが、車が4WDまたは車高のあるSUVタイプであれば行くことができます。
Island in the Skyから『Shafer Canyon Road』を車で下り、『Potash Road』を進んだ先に『Gooseneck Overlook』と呼ばれるコロラド川が一望できる最高のスポットがあります。
トレイルや景色を見る通常の国立公園のアクティビティと異なり、車で断崖絶壁を450メートルの下降と共に運転するオフロードは最もスリリングな体験となるでしょう。
この記事では実際にShafer Canyon Road下り、壮大なコロラド川の手前までの道のり、オフロード、行き方、注意事項、風景をまとめました。
Shafer Canyon RoadとPotash Roadの概要とルート
今回紹介するルートはIsland in the Skyを始点とするShafer Canyon Road（緑色のルート）から、Potash Road（青色のルート）を進んだ先にあるGooseneck Overlook周辺を目指します。
■Shafer Canyon Road（シャファー・キャニオン・ロード）について
全長約8.4㎞の完全オフロードでIsland in the Skyの始点（標高1,800メートル）からPotash Roadの分岐ポイント（標高1,350メートル）までの道のりです。
標高差が450メートルもあり、ホワイト・リムまでの崖に沿ってオフロードを下っていきます。
道は非常に狭くて勾配がきつく、最もスリリングなオフロードです。
さらに、オフロードは蛇行していて下から登ってくる車が見え辛く、すれ違いざまは緊張する瞬間です。
■Potash Road（ポタッシュ・ロード）について
Potash RoadはMoab（モアブ）の街からコロラド川に沿って続く道で、Shafer Canyon Roadまで片道約45マイル（72㎞）の道のりです。
道中は様々なアーチやコロラド川を間近で眺められるスポットが点在しています。
Moabの街からは舗装された道しばらくが続き、途中からオフロードになります。
■今回のルートについて
Island in the SkyのビジターセンターからShafer Canyon Roadを進み、Potash Roadに入り、Gooseneck Overlookの周辺を目指しました。
| 距離（ビジターセンター ⇒ Gooseneck Overlook） | 14.5㎞ |
| 所要時間（片道） | 40分 |
| 標高差（始点と終点の差） | 約450メートル |
Shafer Canyon RoadとPotash Roadに行くためにはどのような車の条件が必要か？
この道を走る場合は、国立公園側は『車高のあるAWD（4WD）』を強く推奨しています。
オフロードで大きな石や穴だけでなく、凸凹していて勾配もあります。急な坂道も上がったり下ったりできるAWD（4WD）が必要です。
AWDタイプのSUVも問題なく走行できます。
ちなみに私はNissan ARMADA（AWDタイプ）を借りてShafer Canyon Roadを走りました。
十分な車高と馬力が強みで、問題なく走り切ることができました。
オフロードを進みGooseneck Overlookを目指す
キャニオンランズ国立公園、Island in the SkyにあるビジターセンターからShafer Canyon Roadで崖下を目指し、コロラド川の目の前まで行ける『Gooseneck Overlook』周辺を目指します。
■ビジターセンターからShafer Canyon Roadを走る
Island in the Skyのビジターセンターから車でモアブ方面に1.5㎞進むとShafer Canyon Roadへ続く道が見えてくるので右折します。
最初に出てくる道です。
入口に表札は無く、見落とさないようにしましょう。
右折してすぐの場所にShafer Canyon Roadの注意書きの看板が見えてきます。
- ShaferトレイルからPotash Road経由でモアブまで片道72㎞の距離。車高のある4WD車が推奨
- White Rim Roadまで8km先。日帰りでホワイト・リム・ロードに行く場合、許可書の取得と車高のある4WD車が必須。
- キャンプをする場合は『Backcountry Permit』の取得が必須
- 許可の申請と料金の支払いはビジターセンターにて
今回はWhite Rim Roadでなく、Shafer Canyon RoadとPotash Roadに行くため、上記のような許可の取得や料金の支払いは不要になります。
序盤の道はしっかりと整備され、坂が緩やかで走りやすいです。
オフロードは対向車がすれ違うので、徐行しながらお互いに車を譲り合いましょう。
序盤の道はピックアップトラックでも簡単にすれ違うことができますが、中盤に行くと車1.5台分のスペースしかない場所もあります。
青いピックアップトラックとすれ違った場所はちょうど④の写真当たりです。
Shafer Canyon Roadは崖の縁を沿って徐々に下っていきますが、道路の左側は数百メートル崖下になります。（⑤の写真を参照）
ハンドル操作を誤り落ちると助かりません。
慎重にゆっくり走行しながら進みましょう。アメリカでは右側通行なので、帰り道でこのあたりで対向車が来たら谷側すれすれで走らないといけないので、かなりの恐怖です。
段々と勾配がきつくなり、道がタイヤで削り取られて荒くなってきます。
車もかなり揺れ、タイヤが溝にハマるとハンドルが持っていかれるのでしっかりと握ってゆっくりと進んでいきましょう。
谷を降下して中盤に差し掛かると、何度も蛇行する急勾配の道を進みます。
非常に険しい道となり、より慎重なハンドル捌きが求められます。
道は完全にUターンをするため、曲がる際はアウトコースから曲がりましょう。
事前に下の道路の風景が見えるので、対向車が来ないか確認してからUターンに入りましょう。
※Uターン中に対向車が来たら最悪です。
この道にはカーブミラーが一切なく、画像⑧のようにカーブの先から突然対向車が来ることもあるので、気が抜けません。
奥から砂煙が見えたり、クラクションが聞こえたら対向車が来ている合図になります。
五感を研ぎ澄ませながら運転してください。
私も子供や家族、親族が乗っていたので緊張感を持ちながら運転しました。
今度はカーブ手前で登ってくる対向車が見えたのでUターンの前の道でやり過ごすまで待機しました。
道は狭いですが、所々に車をやり過ごせるスペースがあるのでうまく切り抜けて下っていきます。
蛇行する一番キツイ道も終盤に差し掛かり、少し運転に余裕が出てくると切り立つ岩の壁の存在に気が付きます。
出発地点から200メートルも降っているため、降りた分だけそびえ立つ絶壁の高さに驚くことでしょう。
谷を下り終えるとキャニオンランズ国立公園の中間層『ホワイト・リム』に入ります。
このエリアは通称『バックカントリー』と呼ばれており、水もトイレも施設も一切ない手付かずの自然が広がっています。
険しい谷を下り終えるとアップダウンの激しい道を進んでいきます。Shafer Canyon Roadも間もなく終着地点です。
■Potash Roadを進みGooseneck Overlook周辺付近まで
Shafer Canyon Roadの終着地点はまっすぐ進むWhite Rim Roadと左手に曲がる『Potash Road』の分岐点に差し掛かります。
今回は通行許可書が不要なPotash Roadを進みます。
Potash RoadはWhite Rim層よりも更に100メートル程下り、コロラド川と同じ標高を目指していきます。
ここから先の道は勾配は少なめですが、アップダウンが激しく、かなり荒れ果てた道なので気を緩めずに運転しましょう。
Potash RoadはShafer Canyon Roadと比べると道幅が狭く、対向車が来ても譲り合えない場所もあります。
しばらく進むともう一段階下がった谷の間を走ります。
砂煙がすごく、後方の風景の確認が出来ないほどです。このエリアは乾燥していて砂漠のような気候です。
谷を抜けると見晴らしの良い風景が続きます。⑤の画像の水際方面にコロラド川が見えてきます。
画像⑥は来た道を振り返った風景ですが、もはやどこから来たのかわからないほどインナーキャニオンの中心に入り込んでいます。
このあたりの風景は大地が全体的に傾いて見えます。
画像⑦の特徴的な砂岩の丘にを越えた先にコロラド川が見えてきます。
ここまでの所要時間は約40分くらいでした。
目の前で眺める雄大なコロラド川の風景とは？
ひたすら渓谷を降下してようやくたどり着いたこの場所は『Gooseneck Overlook』と呼ばれています。
コロラド川がガチョウの首のような形をしていることからそう名付けられています。
◼️動画で見るコロラド川の様子
このビュースポットは目の前に曲がりくねったコロラド川を崖の先端から眺められます。
半径400メートルの広範囲で、このような風景を眺めることができます。
コロラド川の水の色は茶色く濁っています。川が大地を侵食しているため削られた砂岩や堆積物が流れて茶色になっています。
それゆえに膨大な年月をかけて長く深いキャニオンランズの渓谷が形成されています。
■オフロードの風景映像（タイムラプス）
車でキャニオンランズのオフロードを走るための予備知識とは？
車でShafer Canyon RoadやPotash Roadを走る場合の予備知識をまとめました。
■車は車高の高い4WD（AWD）やSUVタイプが必須
車高が十分ある車がShafer Canyon Roadを走る一番の条件です。
Island in the Skyから続くShafer Canyon Roadは350メートル以上も渓谷を降下する完全なオフロードで、荒い砂と土の道を進んでいきます。
車高が低い車は車体が地面に接触し、車体が乗り上げて進めなくなる場合があります。
Shafer Canyon Roadを進んだ先のPotash Roadも起伏の激しい道が続き、道幅が狭いので注意が必要です。
■一般乗用車で行くことは可能か？
実際に走ってみて2WLタイプの一般車でも自力で行けそう思いました。
ただし、4WD以外の車で行くことは正直おすすめしません。
溝にハマったら進めなくなりレッカー費用が掛かるだけでなく、車の損傷や状況によってはフルカバーの保険に入っていても適用外になるため、リスクしかありません。
■Gooseneck Overlookまでの所要時間は？
Island in the SkyからShafer Canyon Roadで渓谷を下りPotash Road経由でGooseneck Overlookまでの片道所要時間は約40分（距離14㎞）です。
景色を見る時間を考慮すると往復の所要時間は2時間くらいです。
■お勧めの時期と時間帯とは？
行く時期は4月～11月上旬頃がお勧めです。冬の時期は氷雪で道路がクローズしています。
時間帯はコロラド川がよく見えるお昼間がおすすめです。
■通行許可証は不要
Shafer Canyon RoadとPotash Roadは事前の申請無しで通ることが可能です。
White Rim Roadはビジターセンターで通行許可証の申請が必須のため間違って行かないようにしてください。
■車は砂埃でかなり汚れる
オフロードを走った後は砂煙でこのように車がかなり汚れます。
■雨天は行かず天気を確認しましょう
数時間以内に雨が降る場合、雨の日、または前日に雨が降った日は道がぬかるんでいたり道路が崩れているので行くのを中断してください。
国立公園側がクローズしていることもあるので行く前にビジターセンターで最新の道路情報を確認しましょう。
■夏場は熱中症に注意
夏場のホワイト・リムエリアは暑く乾燥しています。
熱中症対策として車に十分な量の水を積んでから向かいましょう。
■車を運転する際に気をつけること
スピードの出し過ぎに注意し、カーブを曲がる際は徐行しながら進みましょう。
下り坂での急なブレーキはスリップを誘発します。
常に対向車が交差するタイミングを見計らって走行しましょう。
オフロードの両端は鋭利な石があり、タイヤがバーストする危険があります。できる限り道路に沿って進んでください。
■トイレや休憩所は一切ない
トイレや施設はありません。行く前にビジターセンターに寄り、整えてから行きましょう。
■生態系を守りましょう
オフロード以外の場所は生きた土壌や砂漠の環境に生息する植物が豊富に生息しています。
オフロードと展望エリア以外の場所はむやみに足を踏み入れず、触らずそのままの状態を保ちましょう。
まとめ
Shafer Canyon Roadはホワイト・リムまで350メートルも崖を降下するオフロードで、この道の走行自体が特別な体験となります。
車高のある4WDタイプの車が必須で蛇行しながら進むオフロードはアドベンチャー感満載です。
Shafer Canyon Roadの終着地点からPotash Roadに続きますが同じく険しい道が続きます。
しかしながら車で40分ほど進んだ先に広大なコロラド川が一望できるスポットがあり、オフロードを走破した者しか味わえない唯一無二の光景が広がっています。
しっかりと準備して落ち着いて楽しんでください。
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