ブライス・キャニオン国立公園はユタ州南部にあるHoodoosと呼ばれる浸食作用による奇形の土柱が特徴的な国立公園です。
その魅力的な地形を見に毎年3月から10月終わりまでに200万人以上の観光客が訪れており、グランドサークルでも人気の観光名所となっています。
この記事ではブライスキャニオン国立公園の概要からアクセス方法、観光のポイントを紹介しています。
ブライスキャニオン国立公園の概要
- 国立公園に正式に登録されたのは1928年
- 営業時間は通年24時間(繁忙期は5月~9月)
- 入場料は車1台につき35ドル(購入日から3日間有効)
- 公園内の設備:ビジターセンター、キャンプ場、トイレ施設、宿泊施設、レストラン、ギフトショップ
- 気温: 12月から3月までは極寒、4月~5月、10月~11月は明け方と夜は冷え込む、6月~9月は30度は越えない
- アクセス方法: ラスベガスから4時間30分以上(420㎞)
ブライスキャニオン国立公園とは?【特徴】
ブライスキャニオンは標高2,500メートル付近の高地にある国立公園で、高原の先端が円形に沿って浸食された特殊な形状地帯が広がっています。
上記写真のような特徴的な土柱は英語で『Hoodoos(フードース)』と呼ばれており、この国立公園の代表的な光景です。
ブライスキャニオン国立公園は主にリムエリアと峡谷深部エリアに分かれています。
リムエリアではブライスキャニオンの風景を展望エリアから眺めることができるビューポイントが国立公園を南北に走る『Bryce Canyon Road』沿いに点在しています。
一方、峡谷深部エリアはリムエリアの各ビューポイントを出発地点に、峡谷深部へ続くトレイルが巡っており、ブライスキャニオンを峡谷の中から楽しむことができます。
2,400~2,700メートルの高地は空気の透明度が高く、晴天率も高いことから天体観測にも優れています。
ブライスキャニオン国立公園でできるアクティビティとは?
ブライスキャニオン国立公園では自然に特化した様々なアクティビティが楽しめます。
■リムから眺めるビューポイント巡り
国立公園内を南北に走る道路沿いに、Hoodoosの景色を一望できるビュースポットが点在しています。それぞれの場所には駐車場が設けられており、歩いてすぐ先に展望エリアがあります。
ビューポイントは大きく分けて南側のエリアと北側にあるエリアに分かれています。
訪れたら必ず行っておきたい代表的な4つのビューポイントは主に北側エリアにあります。
■北側エリアにある有名なビューポイント
- Sunrise Point - サンライズポイント
- Sunset Point - サンセットポイント
- Inspiration Point - インスピレーションポイント
- Bryce Point - ブライスポイント
上記、北側エリアの代表的なビューポイントの詳細は下記の記事を参照ください。
車での移動が必須ですが南側エリアにも9つのビューポイントが点在しています。
ブライスキャニオン国立公園の南側エリアの各ビューポイントの詳細は下記の記事を参照ください。
■ブライスキャニオンの深部へ続くトレイル巡り
ブライスキャニオン国立公園内を走る道路の主要ヵ所にビューポイントがありますが、その場所を出発地点にブライスキャニオンの深部へ続くトレイルがいくつも点在しています。
往復で1時間以内から数時間以上かかる上級者向けのトレイルまで豊富にあり、外側から眺めるブライスの風景とは真逆の、峡谷の深部からブライスキャニオンを体験することができます。
■国立公園内にあるロッジで宿泊
国立公園内にある『Bryce Canyon Lodge』で大自然の中で宿泊ができます。
1日中ブライスキャニオンを堪能でき、夜は満天の星空や国立公園から見る日の出など、国立公園の中で宿泊するからこそ味わえるメリットがあります。
ブライスキャニオン国立公園は比較的初期に認定された国立公園だったため規制が緩く、宿泊施設などの商業施設が当時許されていました。
しかしながら、最近認定された国立公園は宿泊施設などの商業施設を自然保護の観点で園内で建設できないため、ブライスキャニオン内で宿泊できることは非常に貴重な体験となることでしょう。
■国立公園内でキャンプを楽しむ
国立公園の中にキャンプができる区画があり、自然の中でキャンプ生活を満喫することができます。長期滞在をする方が多く、24時間ブライスキャニオンを楽しめます。
■満天の星空
ブライスキャニオン国立公園では満天の星空を見ることができます。海抜2,400~2,700メートル付近にある国立公園は晴天率の高さから天文観測に最適な場所であると言えます。
ブライスキャニオン国立公園の中で見上げる満天の星空は最高の思い出となることでしょう。
■ビジターセンターのプログラムが充実
公園入り口付近にビジターセンターがあり、毎日観光客を楽しませるプログラムが充実しています。
ビジターセンターではブライスキャニオンが形成された過程の歴史やトレイルのルート案内、夜の天文学体験プラグラム、そしてブライスキャニオン全体のインフォメーションがあります。
ブライスキャニオン国立公園の見どころは
ブライスキャニオン国立公園の見どころはビュースポット巡りと峡谷内深部を歩くトレッキングです。
国立公園は車や園内を回るシャトルバスでの移動が必須ですが比較的コンパクトな国立公園です。
短い時間で主要なポイントを半日から1日以内で回ることができます。
初めて訪れた方に是非行って欲しいブライスキャニオンで外せないスポットを一部抜粋して紹介していきます。
■Queen’s Garden / Navajo Combination Trail - クイーンズ・ガーデン/ナバホ コンビネーショントレイル
Sunrise Pointから始点となるクイーンズ・ガーデン・トレイルからナバホ・ループ・トレイルに接続してSunset Pointを経由してループする全長4.6㎞は最も人気のトレイルです。
土柱が密集しているエリアの深部まで下り、ブライスキャニオンを中から楽しめます。所要時間2.5時間ほどのアクティビティです。
■『Sunset Point - サンセット・ポイント』
リムから見渡せるビューポイントの一つでブライスキャニオンの代名詞のHoodors『岩柱』と緩やかに続く赤茶けた大地の風景が広る場所です。
展望エリアから土柱が比較的近く夕日の際は真っ赤に染まったブライスキャニオンの光景が印象的です。
ブライスキャニオンロッジの宿泊棟から近く、滞在中も歩いて行ける場所なのでお勧めです。
駐車場の数が多く、徒歩1分以内で行けるビューポイントです。
■『Navajo Loop Trail - ナバホ・ループ・トレイル』
サンセット・ポイントのリムから出発する『Navajo Loop Trail / ナバホ・ループ・トレイル』は峡谷を下りながら岩柱の合間を縫うように進み、ブライスキャニオンの内側を間近で見ることができるトレイルです。
別の道から出発地点に戻れるループトレイルになっており、最後まで違った景色を楽しめるトレイルです。
距離は往復で2.2km、所要時間は1~2時間の中難易度のトレイルです。行きと帰りは坂道のため、ハイキングシューズが望ましいです。
どこか一ヵ所トレイルを歩きたいと考えているなら間違いなくこのトレイルを選択しましょう。
■『Inspiration Point - インスピレーション・ポイント』
見晴らしの良いビューポイントで、ブライスキャニオンの特徴である岩柱の風景が一番よく見えるパノラマビューポイントです。
駐車場からすぐの場所に1ヵ所、そしてリム沿いに100メートル程南に進んだ先にある丘高い場所から見渡すパノラマビューがおすすめです。
『Bryce Point - ブライス・ポイント』
ブライス・ポイントは国立公園の南側にあるビューポイントで、ひと際飛び出たリムの先端からブライスキャニオンのパノラマを見ることできます。
標高が一番高いビューエリアからは北の方角に見えるブライスキャニオンの風景が眺められます。
ブライス・ポイントから『ピーカーブートレイル』へアクセスができます。
ブライスキャニオン国立公園で知っておきたい事前知識とは?
特に初めてブライスキャニオン国立公園を訪れる方が知りたい情報をまとめています。
■ブライスキャニオン国立公園はサンセットに照らされた大地が魅力的
基本的にどのビューポイントからでも夕日に照らされた赤いブライスの大地を見ることができます。
好きな場所で見ましょう。ブライスキャニオンのビューポイントのほとんどは東を向いているからです。
ブライスキャニオンは東側を向いているため、ここでは沈む太陽の方向にブライスキャニオンはありません。
夕日の時間帯は太陽が大地を赤く染め上げ、夕日に照らされた岩柱と影のコントラスが大変すばらしいです。
サンセットで私のおすすめの場所は『インスピレーション・ポイント』ですが、柵など遮るモノがないためどの場所からも全体の風景を眺められます。
■ブライスキャニオン国立公園内にある『ブライスキャニオン・ロッジ』はおすすめの宿泊施設
国立公園内には公園が運営している宿泊施設『ブライスキャニオン・ロッジ』があり、公園内で宿泊ができます。予約が取り辛く旅行の計画を立てたら早めに予約をしましょう。
■ブライスキャニオン・ロッジが予約できない場合
ブライスキャニオン国立公園の手前に『Bryce』という町があり、いくつか宿泊施設があります。ブライスキャニオン・ロッジで予約が取れない場合は、Bryceの町で予約をしましょう。Bryceの町から国立公園の入り口まで車で5分ほどの距離なので、かなり便が良いです。
■冬の時期は雪化粧された風景が魅力
冬の時期のブライスキャニオンは雪化粧となり神秘的な光景が広がります。冬季はトレイルが封鎖となりますが、各ビューポイントから雪に覆われたブライスキャニオンはとても魅力的な光景となります。
■公園内を走る無料のシャトルバス
国立公園内は基本的には車で回りますが、4月から10月までは国立公園内で無料のシャトルバスが運行しています。混み合っている時期はビューポイントへの駐車場が満車になることがあるので、うまくシャトルバスを利用しましょう。
国立公園内は最大20名が乗車できる無料のシャトルバスが約15分間隔で主要なポイントを8時から20時(冬場は18時)まで巡回しています。
ビジターセンターはもちろん、国立公園内の「Bryce Canyon Lodge」にも経由するため、公園内で宿泊する場合は便利です。
■ブライスキャニオンは海抜が高く高度順応が必要
ブライスキャニオン国立公園は標高2,400~2,700メートル付近にあり、到着した直後からの急激な運動は高山病の危険が伴います。
そこで国立公園に着いてからすぐのトレイルなどは行わず最初はビューポイント眺めるに留め、高地に身体を慣らしましょう。
高度順応は1時間以上取ることで身体が慣れてくるので最初は景色中心の観光から徐々にトレイル体験などアクティブな観光にシフトしていきましょう。
国立公園内にある主な施設を紹介
ブライスキャニオン国立公園は1928年に認定された古い国立公園のため規制の緩かった時代に商業施設が建設されました。
今では国立公園内に新規で施設をつくることが難しいため貴重な施設と言えるでしょう。
公園内には1つの宿泊施設・施設内のレストラン、キャンプサイト、ギフトショップ、ビジターセンターがあります。
■Bryce Canyon Lodge - ブライスキャニオン・ロッジ
国立公園の唯一の宿泊施設です。国立公園内にモーテルタイプ、キャビン、スイート、スタジオタイプなど幅広いカテゴリーのお部屋があります。宿泊施設はサンライズポイントとサンセットポイントの間のリム沿いにあります。
- チェックイン: 16:00から
- チェックアウト: 11:00まで
メインロッジの中にダイニング・レストランがあり、朝食から夕食の時間帯で利用できます。アメリカン料理中心で現地の野菜・肉・魚料理を楽しむことができます。
- 朝食: 7:30 - 10:00
- 昼食: 12:00 - 15:00
- 夕食: 17:00 - 21:00
Valhalla Pizzeria - ヴァルハラ・ピッツァリア
ブライスキャニオン・ロッジの隣にあるカフェ・レストランです。12:00 - 20:00まで営業しております。
国立公園を出てて5分ほどの場所にBryceという宿場町があり、宿泊施設やレストラン、ギフトショップ、ガソリンスタンドなどがありとても便利です。
ブライスキャニオン国立公園への行き方
ラスベガスから片道4.5時間(420Km)でブライスキャニオン国立公園へ行くことができます。州間道路を進みいくつかの道を分岐して向かいますが全体的に走りやすく、道路標識をたどればたどり着くことが出来ます。
最短距離ではありませんが道中にあるザイオン国立公園の『Zion Mt Carmel Highway』がシーニックルートになっており、走り抜けるだけでも楽しい道のりになるためおすすめのルートになります。
*ザイオン国立公園を経由する上記ルートは国立公園の入場料が掛かりますので、ご注意ください。
1日での観光イメージ
ブライスキャニオン国立公園は1日である程度観光が出来ます。下記は午前中に着いて夕方まで観光した場合のイメージです。
ブライスキャニオンは標高があり到着してからすぐの運動は高山病を誘発する恐れがある為、最初は高度順応で身体を慣らしながら観光をする必要があります。
■ブライスキャニオンの1日の回り方
午前
- ビジターセンターで国立公園の情報を集める【高度順応時間】
- サンライズ・ポイント、サンセットポイント、インスピレーションポイント、ブライス・ポイントを観光【高度順応時間】
- ブライス・キャニオン・ロッジでランチ【高度順応時間】
午後
- ナバホループトレイルを歩く(1時間~2時間)
- リム沿いを歩くトレイル(2時間~)
- 夕日の時間帯で好きなビューポイントで夕日鑑賞
- ロッジまたは近場のレストランで夕食
- 宿泊していれば夜は星空観測
- 宿泊していれば好きな場所で日の出鑑賞
ブライスキャニオン国立公でよくある質問と留意点
ブライスキャニオン国立公園を調べていると出てくる疑問点や留意点をまとめました。
■ブライスキャニオンの岩柱はどのように形成された?
ブライスキャニオンにある4層の岩盤が氷河で長い時間をかけて浸食されました。4層の岩盤はそれぞれ硬度が違うため浸食のスピードが異なり、長い年月をかけて独特な土柱が形成されました。
■ブライスキャニオン国立公園内で宿泊施設が取れない場合の代案は?
ブライスキャニオン・ロッジが取れない場合は国立公園を出てすぐにBryceとい宿場町があり「ルビーズ・イン」、「ベストウエスタン」、「ブライスビュー・ホテル」などの宿泊施設があります。レストランもいくつかあるので宿泊施設が取れない場合はこれらの宿泊施設ががおすすめです。
■グランドサークルで次に行きやすい場所は?
ラスベガスに戻る方向の場合は「ザイオン国立公園」へ。その他は「キャピトル・リーフ国立公園」経由で「アーチーズ国立公園」、またはペイジ『Page』の町へ「アンテロープ・キャニオン」や、「バーミリオンクリフ」がおすすめです。
■春(4月~5月)や秋(9月~11月)の服装は?
標高2,300メートル以上の高原のため、昼夜の気温差が激しい場所です。薄手のジャケットは最低限持っていきましょう。
■「サンライズ・ポイント」と「サンセット・ポイント」は日の出と夕日に最適な場所?
答えは「いいえ」です。ビューポイントの名前が『サンライズ』と『サンライズ』なのでこの場所から日の出と夕日が見えると思うかもしれません。
この二つのポイントは東側向いた景色のため日の出は見ることができます。一方の夕日の場合ビューポイントが太陽が沈む方角とは真逆となります。
夕日は太陽を見るのではなく夕日によって赤く染まるブライスの大地が綺麗に見えるため、ブライスキャニオンでは太陽ではなく赤く染まる大地が夕暮れ時の見どころとなることを覚えておきましょう。
どの場所でもきれいに見れますのでサンライズ、サンセット・ポイント関係なく楽しむことができます。個人的にはインスピレーション・ポイントで見る日の出と夕日が素敵です。
■国立公園内にいる野生動物を見かけたら?
国立公園内には野生の動物と遭遇することがあります。特に身近な動物でシカやカラスには人間の食べ物を与えないようにしましょう。ゴミはきちんと指定の場所に捨てるか、持ち帰りましょう。
まとめ
ブライスキャニオン国立公園は他の国立公園と一味違った風景が広がり、訪れた観光客を驚かせることでしょう。その異様な岩柱の群生は一度訪れたら忘れられない光景かと思います。
国立公園巡りやグランドサークルを計画している場合は、必ず行きたい場所になると思います。標高も高いためブライスキャニオンに訪れる際は新月に近い時期を選んで夜空を見上げてみましょう。満天の星空が広がること間違いなし!
季節問わず夜間や冷え込みますので適切な防寒対策をしてブライスキャニオン国立公園を楽しんでください。
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