ブライスキャニオン国立公園で一番人気のトレイルは『Queen’s Garden/Navajo Combination』のトレッキングです。
所要時間2時間半の約4.8㎞のトレッキングはとても充実感があり、このトレイルを歩くことでブライスキャニオンの全貌が体験できます。
この記事では2022年4月24日にSunset Pointからリムトレイルを歩き、Sunrise PointからQueen’s Garden Trail、及びNavajo Loop Trailを経由してSunset Pointまでのトレイル風景、道のり、体験談や事前知識をまとめています。
Queen’s Garden / Navajo combination trailについて
クイーンズガーデン&ナバホ・コンビネーショントレイルはブライスキャニオンの北部エリア、通称『Bryce Amphitheater 』にあるループトレイルです。
ループトレイルとは始点と終着地点が同じで円を一周するように繋がったトレイルです。このループトレイルは1周4.6㎞の道のりで、上の図のような行程です。
土柱の合間の谷を進み、峡谷の中を歩きながらブライスキャニオンの風景を全身で体験できるトレイルです。
■Queen’s Garden/Navajo Combination Trailの概要
トレイルの出発地点 | Sunrise PointまたはSunset Point |
トレイルの難易度 | 適度な難易度 |
トレイルの距離 | 4.6㎞(出発地点からのループ) |
標高差 | 183m(往復で366m) |
平均所要時間 | 約2.5時間 |
この組み合わせのルートは国立公園の中で最も人気のトレイルで様々な土柱や松林の風景を眺めながら歩くことができます。
Sunset Pointを出発し、序盤はSunrise Pointまでのリム沿いから眼下にある土柱のパノラマ風景を眺めながら進みます。
次に、Queen’s Garden Trailでは異なった土柱の間を進みながら進んでいきます。
その後、Navajo Loop Trailに合流してからは松の木の遊歩道を進みますが、自生する植物や小動物の姿を見ながら歩きます。
終盤は切り立つ赤い壁『Wall Street』の迫力が待ち構え、最後の峡谷を登りSunset Poinに戻ってきます。
まさにブライスキャニオンで体験できる内容のすべてがこのトレイルに凝縮していて、観光で訪れたら間違いなく行くべきおすすめの観光スポットです。
ナバホ・ループ・トレイルのみの記事も紹介しますので併せてご確認ください。
Sunset Pointから出発してQueen’s Garden Trailを歩く
Sunset Pointを出発地点に実際にトレイルを歩いた体験レビューをまとめました。2022年4月24日の午前中の記録です。
■Sunset PointからSunrise Pointまで|距離0.8㎞
Sunset PointからSunrise Pointまでのリム沿いの道は片道0.8㎞の平坦な道のりで、ループトレイルで1番標高があります。
そのため、峡谷側には土柱群の広がるパノラマが一望でき、これからぐるっと回りながら土柱群の中のトレイルを歩くことになります。
リム沿いを歩いていると写真のようなベンチがあるので座って景色が見れるようになっています。時間に余裕があればゆっくり風景を楽しみましょう。
Sunrise Pointまでは上の写真のようなパノラマが常に見え、とても開放的な景色です。
■Sunrise PointからQueen’s Garden Trailの土柱エリアまで|距離1.4㎞
Sunrise Pointのすぐ横からQueen’s Garden Trailの始点があり、ここから緩やかな下り坂で峡谷の深部へと進んでいきます。
序盤のトレイルは緩やかな坂道で、蛇行しながらブライスキャニオンの中に徐々に入り込んでいきます。
少し道を進むと峡谷の中からリム側の光景やSunset Point側がよく見えることでしょう。
歩くたびに形の異なる土柱が現れます。
手で触れられるほど目の前にあり、よく見ると土柱の侵食具合がよく分かります。
このあたりのトレイルは土柱が円形に広がる淵沿いにあり、進行方向に対して右側を中心に土柱群がよく見えます。
緩やかな坂道は、反対側から来る観光客が来ても十分に交差できる道幅があり、とても歩きやすくなっています。
Sunrise Pointから500メートル程進むと急な坂道に差し掛かります。一気に数十メートルを蛇行しながら下っていきます。
反対側からやってくる観光客が息を切らしながらすれ違い、「まだSunrise Pointまでしばらくあるよ」と伝えると、少しがっかりしていました。
このトレイルは今回のようにSunrise側から進む、つまり時計回りに進むと、長い緩やかな下り坂が続くので体力的にも有利にトレイルを歩くことができます。
蛇行した道を下り終えるとマーブル色の大地が遠くまで広がっています。
この辺りは昔、土柱が連なっていましたが長きにわたる侵食によって完全に土柱がなくなってしまいました。
まるで別の惑星にいるかのような光景が広がっています。
ここまで来ると土柱群の外側付近を歩くことになりますが、侵食のスピードが早くこの一帯は今では砂丘のような姿になっています。
しばらく進み看板が見えたら右の道を進みましょう。左側の道は乗馬専用のトレイル『Horse Trail』へ続きます。
ここから先は土柱群の深部へ続く、Queen’s Gardenの中心部に入っていきます。
最初の分岐を右に進んだ先より、土柱が密集する中心エリアになります。
道幅は急に狭くなり、地形が複雑になる為、蛇行しながら土柱の合間を縫って進んでいきます。
土柱の壁が間近にあるので迫力があり、歩くたびに目まぐるしく変わる風景はあっかんです。
ここから3ヵ所ほど、砂岩のトンネルを抜けて行きます。
人工的に穴が開いた細いトンネルを通りますがかなり狭いので反対側からやってくる観光客と譲り合いながら通り抜けましょう。
トンネルの天井はかなり低いので、頭上に気を付けて進んでください。、
土柱のトンネルをくぐると次のエリアが見えてきます。上の写真のような大きな砂岩の塊が至る所にあり、今にも倒れてきそうな感じです。
さらに進むと2つ目のトンネルが見えてきます。一つ目と同じくらい狭いので少し屈んで進みます。
ベビーキャリーを背負っていると子供の頭が天井にぶつかるので気を付けてください。
2つ目のトンネルを越えるとQueen’s Gardenの中心部が見えてきます。
この辺りは特に土柱の密度が高く、とてもカラフルな景色が特徴的です。
長い時間をかけて浸食された大地がこうも見事な色合いになるものなのでしょうか。本当に不思議な光景です。
3つ目のトンネルを越えるとすぐに2つ目の分岐に差し掛かります。上の画像よりまっすぐに進むとQueen’s Gardenの中心部へ続きますが、100メートル程進むと袋小路になります。
Queen’s Garden Trailだけを歩く場合はこの先を終着地点に来た道を戻ります。
一方、看板の左方向に行くと、Navajo Loop Trailへと続き、Sunset Pointへ向かうことができます。
今回はNavajo Loop Trailを経由するため、案内看板を左に進み、トレイルを続けていきます。
■Queen’s Garden Trail中盤からNavajo Loop Trailの分岐点までの風景|距離1.3㎞
ここからは松の木が自生するエリアを歩きNavajo Loop Trailに接続するまでの風景を紹介していきます。
3つ目のトンネルを通り抜け看板を左に進むと今まで土柱しかなかった光景が一変し、松の木と岩に囲まれた風景が見えてきます。
道は多少の緩やかな上り下りがありますがとても穏やかなトレイルです。
この辺りまで来ると松の木で日影が出来るため、自分の体調を確認しながら適度な休憩と水分補給をとり、休憩を心がけましょう。
Sunset Pointまでこの付近でようやく半分の距離となります。
森林に囲まれ中盤のトレイルは、小動物のリスや鳥の鳴き声が聞こえてきます。
更にしばらく進むとSunset Point側の土柱群が見えてきて松の木も少しづつ少なくなってきます。
Queen’s Garden Trailは道なりに進むと最終的にNavajo Loop Trailへと繋がります。上の画像のように分岐に差し掛かったら左に曲がり『Wall Street』方面に向かいます。
冬季時期中はWall Street方面が封鎖しているのでこの分岐に差し掛かったら右側のNavajo Loop Trailへ進みSunset Pointを目指しましょう。
■Navajo Loop Trail接続部分からWall Street経由でSunset Pointまで|距離1.1㎞
ここから先はほぼ上り坂となり、一番体力が必要なトレイルです。
Navajo Loop Trailに入ってからは上り坂となり、進むにつれて土柱の壁が近づいてきます。岩壁手前までは緩やかな坂道なので徐々に身体を慣らしておきましょう。
まだ休憩をしていなければこのあたりで一度水分補給をして小休憩をしておくと良いでしょう。
松の木と土柱の境目となるこのエリアはリスが多く生息しています。休憩していると餌を求めて近づいてきますが、噛まれると危険なので決して餌をあげないでください。
さらに進むと上り坂がきつくなり、密集した土柱の中に入り込んでいきます。ごつごつとした巨大な砂岩の存在感に圧倒されます。
両サイドに切り立つ土柱の崖は30メートル以上の高さがあり、間に松の木がまっすぐ立っています。
ブライスキャニオンは常に浸食し続けているため、両サイドの土柱の一部が崩落しています。
また、雨が降ると土柱の合間に鉄砲水が流れ込み浸食が加速されます。久しぶりに訪れたら一部の道が修復されていました。
Wall StreetはNavajo Loop Trailで一番有名な観光名所です。今にも崩れそうな壁、というかむしろ砂岩が崩れて堆積しています。
Wall Street を抜けると約500mほど勾配のキツイ上り坂が待ち構えています。
かなりの体力が必要で、態勢を整えて足場を確認しながら進みましょう。
勾配がとてもキツイので何度も蛇行しながら登っていきます。まるで登山のようです。
息を切らしながら何度も蛇行しながら登っていきますが、常に足元を見ながら歩くのでどのくらい登ったかわからなくなります。
上の写真は登った道の中腹から後ろを振り返って撮った写真ですが、Wall Streetの圧倒的な風景を目の当たりにすることでしょう。
ここまで来たらあとは頂上にあるSunset Pointまで残りわずかで、全長4.6㎞のループトレイルの全貌となります。
トレイルを歩く前に知っておきたい事前知識まとめ
トレイルを実際に歩いた体験から事前知識をまとめました。
■Queen’s Garden / Navajo Loop Combinationは時計回りがお勧め
トレイルはSunrise Point側から進む『時計回り』がお勧めです。
一つ目の理由: 『景色がよく見渡せる』- Sunrise Pointからの道のりは緩やかな下り坂で景色がよく見えます。一方の反時計回りからアプローチする場合は長い道のりの坂道をひたすら登ることになるのでかなり疲れます。
2つ目の理由: 『歩きやすい』- 下り坂の角度がNavajo LoopよりQueen’s Gardenの方が緩やかなので歩きやすいことです。トレイルの怪我の一番の要因は坂道を下っている時に足元が滑り骨折や捻挫です。
■コンビネーションのループトレイルを行う場合は駐車場は必ずSunset Point側に停めること
Sunrise Point側に駐車スペースは意外と離れており、Sunset Point側の駐車場は距離が短いです。
そのため、出発地点はSunset Point側に車を停めてSunset Pointをトレイルの出発地点として歩くことを勧めます。
■トレッキングポールがあると便利
必須アイテムではありませんでしたが、トレッキングポールがあると下り坂や登り坂で足や腰の負担が大幅に軽減されます。
私はこの時体重12㎏の2歳半の子供をベビーキャリーに背負ってトレイルをしましたが、トレッキングポールのおかげでだいぶ楽でした。
子供を背負っていなくても有るのと無いのとでは疲れ度合いが異なります。
■ボトル水の適量について
4月中旬でも気温は25度近くとなり、乾燥地帯は熱中症や脱水症状に気を付けなければなりません。過去に夏に訪れたことがありましたが季節によって最低限の水が必要です。
時期 | 一人当たりの水の量 |
---|---|
秋から冬の時期(10月~4月) | 500ml(ボトル1本) |
春先の時期(5月) | 1,000ml(ボトル2本) |
夏の時期(6月-9月) | 1,500ml-2,000ml(ボトル4本) |
■熱中症対策に必要なこと
- トレイルは朝から午前中に行く
- 首に直射日光が当たらない帽子を被る
まとめ
ブライスキャニオン国立公園で最も有名なコンビネーショントレイルの『Queen’s Garden/Navajo Combination』は所要時間2.5時間~3時間ほどで回れ、目の前で見える土柱の風景や壮大な景色など、このトレイル1本でブライスキャニオンを凝縮した体験ができます。
このトレイルを歩く場合は時計回りに進むことで緩やかな下り坂により身体の負担が少ないです。
ループトレイルなので、最初から最後まで異なる風景を楽しみながら歩けます。