Upheaval Dome - アップヒーバルドームはキャニオンランズ国立公園の「アイランド・イン・ザ・スカイ」にある巨大なクレーターのような穴の中心にドーム状の地形が特徴的な摩訶不思議なスポットです。
隕石によってできたクレーターなのか、または地殻変動によって隆起したのか、2つの諸説があり、謎に包まれた特異点が見どころです。
この記事ではUpheaval Dimeトレイルの特徴から歩き方、そして見える風景を写真と共に紹介します。
Upheaval Dome - アップヒーバルドームの全体像は?
アップヒーバルドームの全体像は人の背丈からは把握しづらいですが、衛星写真で見るとその異様な全体像が分かります。
真ん中のドームを中心に直径約5㎞にわたり岩の層で構成されています。
Island in the Sky地区北西にあり、ビジターセンターから約17キロ(18分)です。
アップヒーバルドームトレイル(Upheaval Dome Trail)について
アップヒーバルドームとは隕石の衝突跡のようなクレーターの中央がドーム状に盛り上がった特殊な地形で、その光景を見ながらクレーターの縁に沿ってトレイルが続いています。
First OverlookとSecond Overlookを歩く
『Upheaval Dome Trail』は2か所のビューポイントがあり、First Overlookと更に進んだ先にSecond Overlookがあります。
どちらも隆起したドームを目前に眺めることができます。
時間がない場合は駐車場から500メートル程進んだところにある『First Overlook』だけでも全体の風景を楽しめます。
■駐車場(トレイルヘッド)からFirst Overlookまで
出発地点の駐車場付近はドームの風景が見えません。まずは岩と低木の合間を進んでいきます。
序盤の道は上り坂になり、自然の岩の段を登っていきます。
両端に岩や石などが積まれていて、行き先を見失なわないようになっていて、松の低木や無造作に転がる岩の風景を歩いていきます。
地面に埋まっている岩が飛び出ている箇所があるので転ばないように足元をしっかり見て進んでください。
100メートル程進むとトレイルの分岐ポイントが見えてきます。左側に「Syncline Loop Trail」へ進む道がありますが、『First Overlook』を進んでいきます。
First Overlookの直前の道は大きな岩の上を進んでいきます。この辺りまで来るとFirst Overlookまで間もなくです。
岩の上を歩くため、数日前までに振った雨が溜まっていることがあります。
時期によっては雨や雪で足元の岩が滑りやすくなりますので、事前に天気を確認してください。
■First Overlookからの風景
アップヒーバルドームは円の中心に白い砂岩がドーム状に盛り上がっており、それを囲むように崖に覆われています。
展望エリアはドームを囲っている崖の端の上に位置しています。
ビューポイントと反対側の崖は1.5㎞も離れており、大きな円を描いたクレーターのようになっています。
アップヒーバル(Upheaval)とは「持ち上げられる」という意味で、中心の砂岩が盛り上がったドームのような形をしていることから、Upheaval Domeと呼ばれています。
■First OverlookからSecond Overlookまで
First OverlookからSecond Overlookまでのトレイルは崖の端を沿うように歩きながら、常にドームを横目に進んでいきます。
中盤のトレイルは岩の上を歩きますが道しるべとなるケルンを目印に進んでいきます。
足元は平地の場所が少なく岩の丘を登ったり下がったりします。
固い岩盤の上を歩くためトレッキングシューズやグリップ力のある運動靴で歩きましょう。
Second Overlookの少し手前に上の写真のような岩でできた丘が見えてきます。実はスロープを上がった場所から見るUpheaval Domeの景色が一番きれいに見えます。
岩のスロープは勾配があり、手で支えながら登っていきます。晴れている日はこの程度で登れますが雨の日や凍結の際は登れないかもしれません。
スロープを上がった先から見たアップヒーバルドームの風景です。ここにしばらく座って滞在しました。
正直ここの景色が一番です。30分くらい居たでしょうか?その間誰にも会いませんでした。
無言で座っていると小さな音でも敏感に聞こえてきます。この時風は殆どなく、たまに聞こえてくる鳥の鳴き声と自分の呼吸音くらいでした。
あまりにも無音なので耳鳴りがします。音がない環境に全く慣れずただ静寂な場所です。大声で叫んでも跳ね返ってくる声は殆どありません。地球の最果てに居る感覚です。
■Second Overlookからの風景
アップヒーバルドームトレイルは程よい難易度で歩きがいがあります。多少の体力が必要ですが、ビューポイントを見ると疲れも吹き飛ぶことでしょう。
アップヒーバルドームの行き方と駐車場
モアブの町を縦断しているUS-191からUT-313に入り道なりに進みます。しばらく進むと「Grand View Pint Rd」と名称が変わり、「Upheaval Dome Rd」を右折した終着地点にトレイルヘッドと駐車場があります。
モアブの町から片道70㎞の1時間ほどの距離となります。駐車スペースは路肩も含めると20台くらいは停めることができます。
道の終着地点は駐車スペースだけでなくトイレやピクニックテーブルが点在しており、トレイルの前後で休憩やピクニックを楽しむことができる施設があります。
トレイルで実際に掛かる所要時間は?
アップヒーバルドームトレイルには「First Overlook」と「Second Overlook」の二か所のビューポイントがあり、それぞれのポイントからアップヒーバルドームの風景を崖の上から見ることがでます。
下記、駐車場からの往復の所要時間をまとめました。
ビューポイント | 往復の距離 | 往復所要時間 |
---|---|---|
First Overlook | 1㎞ | 30分 |
Second Overlook | 2.8㎞ | 1時間40分 |
アップヒーバルドームトレイルを歩く場合、時間に余裕があるなら2つのビューポイントを行くことを勧めます。まずFirst Overlookまでは出発地点から0.5kmで15分くらいで着きます。
最初のUpheaval Domeの景色を眺め15分ほど滞在し、その後Second Overlookまでは1㎞(40分)のトレイルとなります。
前半は低木と岩の隙間道を歩き、後半は崖の縁に沿って岩の上を歩いていきます。難易度は中程度ですが低木に囲まれながら砂岩と勾配のある岩道を歩いていきます。
おすすめの時期と時間、天候と気候について
キャニオンランズ国立公園は通年オープンしていますが、冬季は一部の区画が封鎖しています。真冬の1月は最低気温は氷点下10度以下まで下がり、真夏の7月は36度まで上がります。
降水量は年間通して少な目ですが急に天候が変わることもあるので天気予報はあらかじめ確認しておきましょう。
お勧めの来園時期は4月~10月中旬頃です。真夏の7~8月はカラっとした暑さで熱中症の危険があるので1リットル以上の水を常備してください。
歩きやすい時間帯は春先または秋頃は11時頃から14時頃です。
晴れていれば順光に照らされたドームを見ることができるでしょう。
真夏の7月~8月に行く場合は暑さ・熱中症対策のため、9時前に出発して11時台には戻れるような時間配分が良いです。
夕日の時間帯も赤く染まるドームの風景が綺麗です。ただし日没前に戻るようにしましょう。夜間は足場が見えづらいため思わぬケガに繋がります。
塩のドーム?または隕石衝突のクレーター?2つの仮説があります
アップヒーバルドームはいつできたのか?またはどのようにして構成されたのか?疑問が尽きません。
地質学の観点からもまだ解明されていないようですが2つの有力な仮説があります。
仮説①: 塩のドームが盛り上がった説
この一帯は昔海で干上がって塩が堆積し、年月が経ち塩の上に更に堆積物がたまり、その重みで塩が押し上げられてドームのような現在の姿になった説です。
仮説②: クレーターによる形成説
大昔に隕石が落ちてクレーターのような形になった説です。最近の研究によると隕石衝突説が有力だそうです。
なんでもドーム周辺に衝撃石英と呼ばれる特殊な構造を持つ鉱物が発見されたそうで、隕石衝突による高温と圧力によってのみ結晶化する物質が周辺エリアで見つかったそうです。
どちらにしても非常に興味深い地形をしております。素人ながらどうやってドームができたか考えながらトレイルを歩くのはとても楽しいです。
色々な種類の岩盤や地層を自分の足で踏みながらこのトレイルを進んでいきます。
トレイルで見える景色・風景からこの大地ができたヒントが隠れているのでしょう。
トレイルの注意点
天候が悪い場合や真冬の時期のトレイルは気を付けてください。特に突然の雨や道が凍結している場合、岩の上が滑りやすくなっています。
トレイルの周辺は他に高い山や隠れる場所がなく、落雷に注意です。
遠くで雨雲が見えたり雷の音が聞こえたらできる限り早めに駐車場に戻りましょう。
トレイル開始前に現地の天気予報を調べるだけでなく、オフィシャルHPからトレイルの情報に目を通し、現地ビジターセンターで天候を確認してから行くことをお勧めします。
まとめ
アップヒーバルドームトレイルはその異様な風貌の地形を見ることができるトレイルです。
それ以外には何もなく完全に人界からかけ離れた秘境です。無造作の岩や低木の中を進みながらドームを囲う崖の縁に沿って歩きますが、他の動物も寄せ付けない静寂さがあります。
ドームの風景がきれいに見れる午前中がおすすめで、晴れている日は様々な色の大地が順光に照らされ、とてもきれいな風景が広がります。
まずは最初に訪れるFirst Overlookのひらけたドームのパノラマ風景に驚くことでしょう。
体力があればSecond Overlookまで行き、アップヒーバルドームの景色を是非堪能してください。
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