気づけば旅もいよいよ終盤。これまで訪れてきた名所の数々、そして移動してきた距離を振り返ると、本当に壮大な旅だったなぁと感じます。
そんなグランドサークル11日目の朝は、グランドキャニオンの朝焼けからスタート。幻想的な空の色と、雄大な渓谷の景色にしばし言葉を失いました。これまで何度も写真で見てきたはずなのに、やっぱり実物は別格…!
その後は、アメリカの歴史を感じる**「ルート66」**を少し迂回してドライブ。クラシックな雰囲気が残る道沿いには、どこか懐かしさを感じる風景が続きます。
途中、名物のハンバーガーで腹ごしらえをして、ついにラスベガスへ向かいました。ネオンきらめくあの街が見えてきた時のワクワク感は格別!
■グランドサークルの旅:11日目のスケジュール
04:45 | 起床 & グランドキャニオンの夜明け |
05:10 | 金色に輝くYavapai Pointの日の出、ロッジの外で巨大なシカと遭遇(6:30) |
07:00 | 部屋の中で朝食 |
09:30 | 朝のグランドキャニオン散策(11:30まで) |
11:45 | サウスリムを離れる |
13:00 | 憧れのRoute-66に到着、ドライブ |
15:30 | KingsmanでIn-N Out burgerで遅めのランチ |
17:30 | ラスベガス到着 |
18:00 | Toropicanaホテルチェックイン |
18:30 | ラスベガス通りを散策開始 & 夜食を購入(20時頃まで) |
【グランドキャニオンの夜明け】静寂の中、カメラを抱えてリムトレイルへ

11日目の朝は、まだ太陽も昇っていない真っ暗な明け方前に起床。
昨夜セットしておいたカメラの回収のため、そっと身支度を整え、リムトレイルへと向かいました。
外は風もなく、空気は驚くほど澄んでいて…でも気温は氷点下近く。静けさの中に、ピンと張りつめた寒さが肌を刺すようでした。
やがて、東の地平線がほんのりと明るくなりはじめ、「あ、もうすぐ夜明けだ」と心がざわめきます。
すかさず、カメラを日の出の方角へ再びセットし、微速度撮影(タイムラプス)のタイマーをオン。
いよいよ、日の出まであと1時間。
一度部屋に戻り、しっかりと防寒対策をして、今度は**グランドキャニオンで有名なビューポイント「Yavapai Point(ヤバパイ・ポイント)」**周辺へ。
この旅のクライマックスともいえる朝を、しっかりと目に焼き付けるために。
【グランドキャニオンの日の出】静かな絶景スポットで迎える朝
ロッジを出発し、車で約5分。グランドキャニオンの人気ビュースポット、**Yavapai Point(ヤバパイ・ポイント)**へと向かいました。
大きな駐車場に車を停めてからは、リムトレイル沿いを少し歩き、静かな断崖の見晴らしがいい場所を発見。展望エリアはすでに人が集まり始めていたので、私たちはあえて少し離れた静かな場所で、日の出を待つことにしました。

どこから太陽が顔を出すのか、地平線を見つめながら位置を確認し、もう一台のカメラを三脚にセットしてスタンバイ。空は少しずつ明るさを増し、まるで世界がゆっくり目覚めていくような感覚。
そしてその時を、毛布にくるまりながら眠気と戦う子どもも一緒に待っています。寒さの中でも静かに、でもちょっとワクワクしながら、太陽が昇るその瞬間を家族で見届けようとしていました。
そして、ついに。
空が淡いオレンジに染まり始め、巨大なグランドキャニオンの姿がはっきりと浮かび上がってきました。
少しずつ光が差し込み、深く刻まれた谷が静かに目を覚ますように明るくなっていきます。
まるで大地そのものが息を吹き返すような、美しく力強い朝の光景。
この場所で、この瞬間に立ち会えたことに、ただただ感謝の気持ちが湧いてきました。


それからしばらくして、ようやく太陽がゆっくりと姿を現しました。
朝の光が差し込むと、目の前の大渓谷は柔らかな金色に染まり、どこか幻想的な雰囲気に包まれていきます。
空気はまだ冷たく、冬のような朝でしたが、差し込む光にほんのりとした温かさを感じました。
どこからともなく聞こえる鳥のさえずりが、静かな朝の風景にやさしく溶け込んでいきます。
賑やかでも、派手でもないけれど、心にじんわりと残るような穏やかな日の出。
この場所でこの瞬間を迎えられたことに、自然と感謝の気持ちがわいてきました。
改めて、今回の旅で巡ってきたグランドサークルの雄大さと、そこに流れる時間の豊かさを静かに感じた朝でした。
■【朝の出会い】ロッジへ戻る道で、野生のシカたちに癒される

日の出を見届けたあと、1時間ほど静かな時間を過ごしてから、ロッジへと戻ることに。
その帰り道、ふと道の脇に目をやると、小さな鹿が一頭、ゆっくりと草を食べていました。
人に対してそれほど警戒する様子もなく、落ち着いた様子で朝の食事を楽しんでいるように見えました。
その姿はとても穏やかで、朝の澄んだ空気にぴったりな静けさがありました。

ロッジに着いて裏手にまわると、今度はずっと大きな鹿が一頭。
ロッジの敷地内に植えられた木の葉を食べていて、思わず足を止めて見入ってしまいました。
その堂々とした姿には迫力があり、「ああ、本当に自然の中に滞在していたんだな」と、あらためて実感しました。
グランドキャニオンの朝は、壮大な風景と、野生の静かな存在感に包まれて、忘れがたいひとときとなりました。
【チェックアウト後のグランドキャニオン散策】シャトルバスで「Yaki Point」へ
部屋に戻ってからは、余っていた食材で簡単に朝食を済ませ、名残惜しさを感じつつロッジをチェックアウト。
この日は、グランドキャニオンの中心エリアにあるビュースポット巡りをすることにしました。
まず向かったのは、シャトルバスを利用してアクセスする**「Yaki Point(ヤキ・ポイント)」**。
ここは個人車両の立ち入りが制限されているため、シャトルバスに乗って向かいます。

ポイントに到着すると、目の前に広がるのは順光に照らされたグランドキャニオンの壮大な風景。
奥行きのある地形がはっきりと見え、地層の重なりや渓谷の深さが立体的に感じられる素晴らしい眺めでした。

足元近くを見下ろすと、左手の谷底に向かって続く細い道。
これは、コロラド川まで下れることで有名な**「South Kaibab Trail(サウス・カイバブ・トレイル)」**。
ぐねぐねと続くトレイルの全体像がよく見え、歩く人の姿も時折点のように見えました。
【Mather Point】最も有名なビュースポットから見る、グランドキャニオンの中心風景
Yaki Pointでの景色を満喫したあと、次のシャトルバスに乗って元の場所まで戻り、そこからは歩いて**「Mather Point(マザー・ポイント)」**へ向かいました。
この場所は、崖の先端に突き出したように設けられた展望エリアが特徴で、グランドキャニオンの中でも特に人気のあるビュースポットのひとつです。


ビュースポットに向かう道中、リムトレイル側からふと見上げたその姿は、崖の上にまるで浮かんでいるようで、思わず足を止めて写真を撮りたくなるような迫力がありました。

そして、先端に立つと目の前に広がるのは、グランドキャニオンの中心部を一望できる壮大な風景。
深く切り立った渓谷の谷底まで見渡すことができ、複雑に入り組んだ地形や、遠くに広がる地層のグラデーションがとても印象的でした。
人の多さこそありましたが、それでもこの場所に立って見下ろす景色は格別で、グランドキャニオンのスケール感や自然の造形美を、あらためて実感しました。
Mather Pointでの景色をたっぷりと堪能したあと、最後に家族全員で集合写真を一枚。
背景に広がる雄大なグランドキャニオンとともに、忘れがたい思い出をしっかりと写真に収めました。
小さな子どもにとっては長い旅だったかもしれませんが、
この壮大な風景や澄んだ空気の中で過ごした時間が、心のどこかに残ってくれたら——そう思えるほど、意味のあるひとときでした。
今回の旅では限られた時間の中で、主に展望スポットを巡りましたが、
次に訪れるときは、もっと時間をかけて、グランドキャニオンの深部へと足を延ばしてみたいと思っています。
バックカントリートレイルなど、大地の中に実際に踏み込んでこそ見える景色が、まだこの谷にはきっとあるはずです。
またいつかこの場所に戻って来られることを願いつつ、グランドキャニオンをあとにしました。
【Route 66を経由してラスベガスへ】アメリカの古き良き風景に出会う道中
グランドキャニオンを後にして、次の目的地・ラスベガスを目指して南下。
AZ-64号線を下り、I-40へ入ると、それまでの静けさとは一変し、交通量が一気に増えてきました。


しばらく走っていると、「Exit 139」の案内標識が目に入り、ここで歴史ある“Route 66”へと進路を変更。
インターステートを降りてしばらく進むと、すぐに路肩に車を停められる場所を見つけ、
有名な「Route 66」の道路標示の前で記念撮影をしました。

見渡せば、何もない荒野に一本だけまっすぐに伸びる古い舗装道路。
整備された今の高速道路とはまったく異なる、アメリカの昔ながらの風景がそこに広がっていました。


途中、小さな町をいくつか通り過ぎます。
どれも規模は小さいながらも、Route 66にちなんだ店舗や装飾が残っており、まるで昔の映画のワンシーンに入り込んだような雰囲気に心が躍ります。

さらに進むと、長大な貨物列車が道路と並走しながら走っていて、その迫力に思わず見とれてしまいました。

道中ではハーレーを連ねて走るバイクの集団ともすれ違い、まさにこの道にふさわしい光景に出会えた気がします。
Route 66は歴史ある古い道路ではありますが、こうして今も実際に車を走らせて体感できる道として生き続けていることに、ちょっとした感動もありました。
グランドサークルの自然とはまた違う、アメリカの文化と時間の流れを感じられるドライブとなり、とても印象深いひとときでした。
【In-N-Out Burgerでひと休み】ロードトリップの合間に味わう、アメリカの定番

ルート66の景色を抜け、しばらく走るとキングマン(Kingman)という街に入りました。
このあたりでちょうどお腹も空いてきたので、道沿いに見つけたIn-N-Out Burgerに立ち寄り、少し遅めのランチをとることに。

このバーガーショップは、注文を受けてからパテを焼き、ポテトもその場でジャガイモから素揚げするというスタイル。
手間を惜しまないその姿勢から、どこで食べてもフレッシュで安定した美味しさがあります。
今回は定番のチーズバーガーとフレンチフライ、そしてピンクレモネードのコンボを選び、車の中で小休憩を兼ねてのんびりと味わいました。

ハンバーガーは焼きたてのパテがとてもジューシーで、シンプルながらも深い味わい。
ポテトは外はカリッと、中はほくほくで、ケチャップとの相性も抜群。
旅の途中というシチュエーションも相まって、久しぶりに食べたIn-N-Outの味が、どこか懐かしく感じられるひとときになりました。
ロードトリップの途中で立ち寄るこういった食事は、ただの腹ごしらえではなく、旅の一部としてしっかりと記憶に残るものだと改めて実感しました。
【再びラスベガスへ】自然から都会へ戻るドライブ
In-N-Outのハンバーガーでお腹も満たされたところで、車を再び走らせ、ラスベガスへ向けて出発。
キングマンを出てしばらくは、約50マイルにわたる真っ直ぐな一本道。
アクセルを踏む足にも自然と力が入り、ハンドルを握る手にも緊張感が戻ってきます。
遠くに見える地平線を目指してただまっすぐに進む道は、アメリカらしい広さと開放感にあふれたドライブでした。

やがて、前方に少しずつ高層ビル群の影が見えはじめ、都会の気配が感じられるように。
「ようやくラスベガスに戻ってきたな」と、どこかホッとした気持ちになりました。
周囲の景色は自然の荒野から一変し、看板やビルが立ち並ぶ都市の風景へ。
走る車の数も一気に増え、標識や案内も一段と多くなる中、慎重に運転を続けながらラスベガスの中心部を目指しました。
久しぶりに見る人の気配があふれる街並みに、どこか現実に戻ってきたような、少し不思議な感覚。
グランドサークルの自然の静けさとはまったく違う空気が、目の前に広がっていました。

ラスベガスの市街地に入り、有名な「Welcome to Fabulous Las Vegas」の看板を横目に通り過ぎながら、
私たちは今夜の宿泊先「Tropicana Hotel(トロピカーナ・ホテル)」へ向かいました。
18時前にはチェックインを済ませ、広々とした敷地内を歩いて客室へ。
すでに夕暮れが近づいており、ストリップ通りの喧騒の中にも、どこか落ち着いた時間が流れていました。
このTropicana Hotelは、2024年4月に惜しまれつつ閉業。
長年ラスベガスを象徴するホテルのひとつとして親しまれてきましたが、
跡地には今後、メジャーリーグの新しいスタジアムが建設される予定です。
そんな歴史あるホテルに、グランドサークルの旅の最後の夜を託すことができたのは、ある意味で特別な思い出になりました。


建物や内装にはやはり年季を感じる部分もありましたが、客室は十分な広さがあり、どこかクラシックで落ち着いた雰囲気。長旅を終えた体を休めるには、ちょうどよい静けさと快適さがありました。
【ラスベガス最後の夜】静かなホテルの部屋で、旅を振り返る
部屋に到着し、荷物を下ろしてほっと一息。
時刻はもうすぐ19時。空腹を感じ始めたところで、今夜の夕食を求めてラスベガスの中心街へ向かいました。
子どもも少し疲れていたこともあり、レストランでゆっくり食べるよりは、テイクアウトで済ませて部屋で食べようということに。
この日はまだ外も明るく、暑すぎず、歩きやすい時間帯でした。


当時はまだコロナ禍の影響が残っていた頃で、以前に比べると観光客の数は少なく、
ラスベガスの華やかな通りにも、どこか落ち着いた空気が流れていました。
食料を探しながら歩いているうちに、気づけばストリップ通りの中心にある「ベラッジオの噴水」まで来ていました。
せっかくなので、足を止めて家族みんなで噴水ショーを鑑賞。
音楽とともに舞い上がる水の演出に、旅の疲れも少し和らいだ気がします。
ショーを見終えたあと、来た道をゆっくりと戻り、近くのフードコートで食事を調達。
この日は手軽に済ませることにして、サブウェイとパンダエクスプレスをテイクアウトしました。
ABCマートでも久しぶりにお酒を買いました。
この旅の間、何度となくお世話になったサブウェイ。
野菜も肉も入っていてバランスが良く、短時間で食事を済ませたいときには本当にありがたい存在でした。
部屋に戻ってからは、のんびりと夕食をとり、ゆっくりとした時間が流れました。
子どもが眠りについたあとは、たまった写真の整理をしたり、ホテル周辺を少し歩いたり。
グランドサークルの旅で出会った数々の景色を思い返しながら、静かな夜を過ごしました。
翌日はまだ旅が続きますが、朝に急かされることもなく、久しぶりに心と体をゆったりと休めることができた、そんな夜でした。
■11日目の食事内容
- 前日に買ったパンやドリンクなどで朝食
- In-N-Out Burgerでランチ
- サブウェイとパンダエクスプレスでディナー
■11日目の走行距離:

300マイル(480キロ)
■11日目の総歩数:
17,346歩(12.8㎞)