#03 About Camera カメラについて

「星空レンズレビュー」星空撮影に適したレンズ:シグマ 20mm F1.8 EX DG ASPHERICAL RF 

更新日:

シグマ20mm F1.8はコスパの良いエントリーレベルの星空撮影として使えるレンズ

星空撮影に興味が出てきた頃、標準のズームレンズやF値が3.5以上の標準レンズしか持っていませんでした。星を撮るためのレンズが欲しいと思い、当時Nikon D700に合う、シグマのレンズを購入しました。一般的に星撮りに最適な条件として下記の項目が重要視されています。

  • 広角レンズ20mm前後のレンズ
  • 極力数字の小さい「f値」が備わったレンズ / 例:最小f値が3.5のレンズよりも1.4または2.8など
  • コマ収差が少ないレンズ(周辺画像の星が点として映るかどうか)

星空は撮影範囲によりますが、一般的に星を点として捉えたい場合、露光時間は30秒以下と言われております。それ以上露出すると地球の自転の影響で星が点として映らなくなってしまうためです。だから星を撮る際のレンズは可能な限り短い時間で光を多く集められる「f値の少ない」=「明るいレンズ」が良いわけです。

SIGMA(シグマ)20mm f1.8は明るいレンズです。本当はニコンAD-S NIKKOR 14-24 f/2.8G EDのレンズが欲しかったのですが、価格が24万円もするため、諦めました。現在も値下がりはしておりません。良いレンズはいつまでも色あせないものです。

そこでとりあえず星空が撮れるレンズということで、「FXフォーマット対応広角レンズ」、「f値が小さい」、「低価格」がそろったSIGMA(シグマ)のレンズを購入しました。

必ずしも高価なレンズでなくても星空はしっかり映りますし、後に画像編集ソフトでノイズや修正を行います。「一昔前のレンズ、そして安くてもある条件下ではしっかりと星空が撮れること」を重点に置いてレビューします。

 

星空撮影において、このレンズで絞り開放(f1.8)での撮影は使い物になりません。f4まで絞り込めば画像周辺のサジタルコマフレアが気にならなくなり、映り込みも改善されます。

最初は星が撮れることに感動していましたが、だんだんと周辺画像の描写の甘さに気づいてきました。f1.8の場合、15~20秒以内の露出時間でしっかりと星空を捉えることができます。

しかし画像周辺に映る星が「星の点」として映らず、十字の形に歪んでしまい、全体が全く締まりません。数々のレビューを見るとレンズの個体差によってはf3.5まで絞ればほとんどサジタルコマフレアが発生しないレンズもあれば、このレンズのようにf4近くまで絞らなければならない物まであるようです。

サジタルコマフレアとは

画像周辺が同心円方向に広がるコマ収差で、カメラレンズ周辺から取り込む光が、レンズの光学観点から屈折した光がセンサーに上手くまとまらず発生する事象ことを指します。

星空の風景

参考画像①: 画像周辺の星が長く伸び、星が点として映っていない

参考画像①より、画像周辺の星が点として映っておらず、十文字のような形になってしまっています。この現象がサジタルコマフレア、コマ収差と呼ばれる光学現象です。星が「〆」のようになっているのがわかるかと思います。この時の絞り値はf1.8(絞り開放)の状態でした。

星空撮影に慣れてくると画像周辺の星の描写が気になってくると思います。そのうち「サジタルコマフレアやコマ収差の少ない星空レンズが欲しい!」と思うようになってきます。

【検証】f値の違いによるサジタルコマフレアの差

SIGMA 20mm f 1.8 EX DG ASPHERICAL RF」の絞り開放から段階的に絞った際のサジタルコマフレアの発生具合を検証しました。

撮影条件と補足:

  • Nikon D750で撮影
  • ISO: 3,200
  • 露光時間: 20秒間
  • 画像編集ソフトでわかりやすいように色合いなどを変えております

f値1.8の場合

星空画像①

周辺画像のサジタルコマフレアが目立つ

絞り開放f1.8は画像周辺の星が「点」として写らず、星の形が十文字型になってしまい、全体的にボケた写真になってしまっています。

f値2.2の場合

 

星空画像f値2.2

f値2.2の画像

残念ながらほとんど変化なく、全体的に画像がゆるい状態です。画像周辺のサジタルコマフレアはほとんど変わりませんでした。

f値2.8の場合

星空画像f値2.8

f値2.8の画像、ほぼ変化なし

f値2.2と比べると若干、サジタルコマフレアが軽減しているかも、という微小な変化です。

f値3.5の場合

f値3.5の星空写真

f値3.5でようやく変化が表れ始める

f値2.8から2段階さらに絞ったf値3.5あたりで、サジタルコマフレアが急激に目立たなくなりました。もう少し絞る必要がありそうです。

f値4.0の場合

f値4.0の星空画像

f値4.0の星空写真、サジタルコマフレアが出なくなる

f4まで絞ると全体的に画像も締まってきました。広角カメラ特性のゆがみはあるものの、サジタルコマフレアはほとんど気にならないレベルです。

f値4.5の場合(星空撮影で絞り4.5は不要)

f値4.5に絞った星空

f値4.5はf値4と変わらず

f値4.5はf値4とほとんど変わりませんでした。すなわち、

今回サジタルコマフレアが無くなった最小f値は4であることがわかりました。 

このレンズは星空を撮る場合、f値4より高い数値で設定する必要はなさそうです。これ以上f値を上げるとISO感度を更に高めることになり、ノイズで画質が悪くなる可能性があるからです。

シグマレンズの星空

f値4で撮影した星空撮影

完全に星を「点」として映すにはf値4以上、露出時間15秒から20秒くらい、そしてISOは3,200以上に設定したいところです。写真はNikon D700で撮影しているため、RAWデータから今後の現象を考え、なおかつノイズ発生を考慮するとISO 1,600までが限界でした。

絞り開放1.8と絞り4のサジタルコマフレアの比較

サジタルコマフレア

絞り開放1.8のサジタルコマフレア

絞り値4の星の形

絞り値4は星が点となり全体的に引き締まっている

絞り開放1.8とf4の画像周辺のサジタルコマフレアの比較画像です。f4まで絞ると星の歪みがほぼ解消されていることがわかります。

 

レンズの大きさと重さ

  • 重さ520g
  • レンズの長さ(ボディに接続してからの距離) 9センチ
  • レンズ周り 82㎜

レンズはそれほど重量感を感じないため、持ち運びはしやすいです。星空撮影は定点撮影のため、重かろうがあまりレンズ選びに影響が出ないと思っております。長さもあまり飛び出しているわけではないため、どのボディもバランスは取れると思います。

レンズは出目金タイプではないため、レンズプロテクターやソフトプロトンなどの偏光レンズが取り付けられます。星空撮影で特殊効果を付けたい方にはアドバンテージになるポイントかと思います。

20mmの広角と星空の映り方

明るいレンズですが絞り開放付近での描写が甘いという点においては、ちょっと惜しいレンズです。20mmの単焦点レンズは天の川をすべて捉えることができませんが十分な範囲をカバーしているので、星空撮影でとても使い勝手が良いレンズです。下記の方には特におすすめです。

  • 天の川を風景と一緒に合わせて映したい方

20㎜の撮影範囲は広角レンズの中でも結構バランスが取れていると思います。風景と星の距離のバランが良いです。20mm以下の超広角レンズはより幅広く映りますが、天の川が小さく映るため、このくらいのほうが良いです。

シグマ20mmで撮影した天の川

f1.8で撮影した天の川の風景

20mmの範囲は天の川が大きく映り、よりダイナミックな写真になります。20㎜付近の写真は構図が合わせやすいと思います。

値段(結構大事な要素)

  • 値段 中古で25,000円~35,000円ほど

このレンズは2002年発売のかなり古いレンズで、今は生産が終了しております。新品で買うことは難しいレンズだと思いますが2020年現在の価格は中古で3万円台で比較的安価に購入できます。

値段の高い最新のレンズは20万以上するものもありますが、その点このレンズは経済的にありがたく、値段は重要な要素です。

このレンズを最大限活かせる条件:

結局はカメラボディの性能に頼りますが、下記条件での利用がおすすめです。

  • f値は4
  • カメラボディのISOは3,200以上
  • 露光時間20秒以下
  • NikonならFXフォーマット、D750、D810、D850、D810シリーズ、またはそれ以降の最新カメラ

まとめ

絞り開放1.8で撮影するとISO1,600程度の15秒で星がかなり映ります。しかし絞り開放付近は描写が甘いため、ある程度絞らないとコマ収差が発生し、写真が全体的にボケます。

それを回避するためにf4まで絞れば、ある程度しっかりした星空写真が撮れます。ISO感度も3,200以上にするといいでしょう。今は高感度でもノイズが少ないカメラが増えてきております。高感度撮影でもノイズが発生しないカメラとの相性はかなり良さそうです。

絞った際に生じる「露光時間のノイズ問題」を、ISO感度を上げても問題ないセンサーを搭載したカメラであれば、解決できるポテンシャルを秘めたレンズかと思います。

ここ最近のカメラの高感度性能が飛躍的に向上したため、20年近く前のレンズでも「星空撮影ができるレンズ」として時代に追い付いてきた、ということだと思います。このレンズを持っている方、星空撮影で重宝するかもしれません。古いレンズも条件次第では化けるということです。

 

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