アリゾナ州北部にあるマーブルキャニオン（Marble Caynon）にナバホ・ブリッジ（Navajo Bridge）という橋があります。
1920年代に開通した橋は歴史があり、橋の上から眺める美しい景観が見どころの観光スポットです。
眼下に流れるコロラド川に架かる橋は観光用に歩いて渡ることができ、色とりどりの渓谷が綺麗な場所です。
この記事ではナバホ・ブリッジ（Navajo Bridge）の概要と行き方、その他風景を紹介していきます。
Navajo Bridge（ナバホ・ブリッジ）とは？
ナバホ・ブリッジはマーブルキャニオンにある２つの橋の総称です。
2つの橋は建設された年代が異なり、1つ目の橋は1929年に開通しました。
横並びにできた2つ目の橋は1995年に開通し、国道89A（US-89A）として車が往来する主要道路になっています。
ナバホ・ブリッジが開通したことで、南北に流れるコロラド川で分断されていた大地へのアクセスが飛躍的に向上し、グランドキャニオン・ノースリムやKanab（カナーブ）の町への移動がより簡便になっています。
橋は約245メートルの長さと約134メートルの高さを誇り、眼下に流れる壮大なコロラド川と浸食によって削れた深い渓谷が美しいスポットです。
1つ目の橋ができた当初は『Grand Canyon Bridge』と名付けられていましたが、1934年に『Navajo Bridge』と改名されています。
その後、老朽化と共に新たなNavajo Bridgeが1995年に開通しましたがほぼ同じ形状で両隣に同じ橋が二つある場所は全米でも珍しいようです。
元の橋は車の通行が禁止され、いまでは徒歩や馬のみが渡れる観光用と、歴史的な建造物として保全に努めています。
Navajo Bridgeから見た眺めとは？
この記事ではペイジ側（橋の東側）からアプローチした風景が中心です。
*西側（Interpretive Center側）ではありません。
歩いて渡れるナバホ・ブリッジは通称『Historic Navajo Bridge』と呼ばれ、橋の南側にあるUS-89Aに並列しています。
■100年を迎える歴史的な橋
Historic Navajo Bridgeは現在も衰えることなくしっかりと佇んでいて、歴史を感じさせる風貌です。
横幅約5.5メートルの橋は十分な広さがあり自由に散策できます。
とても開放的で、橋の上からの眺めは最高です。
柵は1.3メートル以上あり、乗り上げることさえ注意していれば小さな子供も安全です。
また、鉄格子の間からコロラド川を覗くことができるでしょう。
西側にそびえ立つ大地は『パリア高原（Paria Plateau）』と呼ばれ、この橋の標高（約1,070メートル）に対し、2,000メートル級の高原が広がっています。
パリア高原の奥には一日限定で数十人しか入ることができない『バーミリオンクリフス国定公園（Vermilion Cliffs National Monument）』のある秘境へと続いています。
■静寂なコロラド川
ナバホ・ブリッジの最大の魅力は「橋の上から見下ろすコロラド川と谷の風景」です。
コロラド川と橋の高低差は150メートル弱もあり、深い谷と何層ものむき出しになった地層が迫力満点です。
渓谷の両サイドは垂直の崖となり、まるで人工的に削ったような風景ですが、これが長い年月をかけて浸食した光景ということですから驚きを隠せません。
直線距離で約18km上流にあるグレンキャニオン・ダムから流れているため、強い流れは無くこの周辺の川の流れは一定で穏やかです。
そのため波が立ちにくく、川底に生息する藻の色が反射され川の水がターコイズブルーとなります。
■新Navajo Bridge（US-89A）が見える
橋の隣に見える新Navajo Bridge（現US-89A）は1995年に開通し、旧Navajo Bridgeとほぼ同じ形状をした姉妹ブリッジです。
旧ナバホ・ブリッジは老朽化と耐久性の問題により新Navajo Bridgeが造られた背景がありますが、橋が架かる東側の土地はNavajo Nation（ナバホ族の土地）のため、当時は利権などの問題で厳しい交渉が行われたそうです。
旧ナバホ・ブリッジから見た新ナバホ・ブリッジです。
断崖絶壁に鉄骨で作られた橋がマーブルキャニオンの風景と見事に調和しています。
1995年に造られた新しい橋（左側）は古い橋（右）に似せて作られていて、2つの橋がほぼ同じ形状をしていて、ナバホ・ブリッジの代表的な景観になっています。
Navajo Bridge（ナバホ・ブリッジ）の行き方
Page（ペイジ）の中心から車で45分くらいで行くことができます。
橋を渡る手前側に12台ほどの駐車スペースがありますが、車で橋を渡り切った先にビジターセンター（ギフトショップやトイレあり）と22台くらいが駐車できるスペースが完備されています。
Navajo Bridge 周辺の観光スポットについて
| Lower Antelope Canyon | 48分/42マイル |
| Horse Shoe Bend | 37分/34マイル |
Navajo Bridge（ナバホ・ブリッジ）に行く前に知っておきたい予備知識とは？
■コロラド川がターコイズブルーな理由
水の色は無色透明をイメージしますが、実際の水の色は可視スペクトルで赤色を吸収する性質上、かすかな青色をしています。
コロラド川は川底にある藻の影響の他、渓谷に含まれる石灰岩が削られ、川に豊富に含まれる炭酸カルシウムが太陽の光の影響で水がより青みがかります。
*雨が降った日などのコロラド川は他の流域では川の色が茶色や赤く濁ることもあり、外的要因によって川の性質が異なるのもコロラド川の特徴です。
■入場料は？
入場料は掛からず、無料です。
■マーブル・キャニオンの名前の由来とは？
Marbleとは大理石を意味しますが、この渓谷には大理石は存在しません。
当時の地質学者（John Wesley Powell）はこの地に大理石が存在しない事を知っていたようでしたが、渓谷に含まれる石灰岩（limestone）は磨けば大理石のような光沢と様々な色合いを出すことからMarble Canyonと名付けられました。
紛らわしいですが正しくつけるなら「Limestone Canyon = 石灰岩渓谷」と名付けられていたかもしれません。
■滞在時間は？
30分以内くらいで見て回れます。
橋の西側はギフトショップやちょっとしたミュージアムのようになっています。
公衆トイレや日陰のあるベンチもあるので小休憩も可能です。
■雷が鳴ったら端から離れること
雷雨の際は橋に雷が落ちて感電する危険があるため、雨雲や雷鳴が聴こえたらすぐに橋から離れて車に避難しましょう。
■東側にアクセサリーショップがある
東側の駐車場付近にナバホ族がアクセサリーショップ（露店）を経営していて、ハンドメイドのアクセサリーが豊富にあります。
まとめ
ナバホ・ブリッジはコロラド川を掛ける橋でペイジ周辺を訪れて時間があれば、立ち寄りたいお勧めの観光スポットです。
車通りが無く安全に歩いて渡ることができます。
橋の上からはコロラド川とむき出しの渓谷と岩盤が調和したアメリカ西部の光景が広がっています。
観光の所要時間は30分程度で十分ですが、グランドサークルで回るポイントとして訪れやすく、印象に残る風景になることでしょう。