旅はまだ続いていますが、長く続いたグランドサークルの冒険も、ついにクライマックスを迎えます。
最後の目的地は、言わずと知れた絶景――グランドキャニオン国立公園。
その雄大な自然にたどり着くまでにも、いくつものビュースポットに立ち寄りながら進みました。どの場所からも、自然の壮大さと力強さを感じることができて、まさに「旅している」と実感する瞬間の連続。
そして辿り着いたのが、崖の先端にたたずむ『ブライトエンジェルロッジ』。
大渓谷を間近に望むこのロッジは、静けさと迫力が同居する特別な場所でした。目の前に広がる大自然に包まれて過ごすひとときは、これまでの旅を締めくくるのにふさわしい、心に残る宿泊体験になりました。
■グランドサークル10日目
6:00 | 起床 & 食事(7:00) |
8:30 | ペイジを出発 |
9:42 | Cameronでガソリンを補給 & テイクアウトランチ(激マズ) |
11:06 | グランドキャニオン標識到着、集合写真 |
11:20 | グランドキャニオン国立公園サウスリム入園 & ビュースポット巡り |
14:41 | Bright Angel Lodge 到着&チェックイン(手続きのみ) |
14:55 | Hermit Roadのシャトルバス巡り |
17:09 | Bright Angel Lodgeチェックイン |
17:13 | Fred Harvey Burgerで夕食(18:30まで) |
18:50 | Rim Trailで夕日鑑賞 |
19:10 | お土産(ギフトショップ) |
19:56 | ロッジに戻り自由行動 |
深夜帯 | Rim Trail沿いで星空観賞 |
旅の朝、光に起こされて。いよいよグランドキャニオンへ
カーテン越しに差し込むやわらかな朝日で、ふと目が覚めたのはまだ6時頃。
旅先の朝って、なぜか目覚ましがなくても早く起きられるから不思議です。
ホテルで簡単に朝食をとり、荷物をまとめて出発準備完了。今日の最終目的地は、ついにあのグランドキャニオン国立公園・サウスリム。名残惜しさを感じつつ、滞在していたペイジをあとにしました。
車を走らせたのはUS89号線。南へと進むこのルートは、朝の空気も相まってとても穏やかで、道中は順調そのもの。遠くに見える岩山や広がる大地を眺めながら、どこか心が落ち着いていくようなドライブでした。
それにしても、あれだけ感動していたシーニックルートも、旅の終盤ともなると少し“日常”のように感じてしまうから不思議です。人の慣れって、本当に怖い。
でも、それだけこの旅の中で、絶景を当たり前のように感じられるほどの贅沢な時間を過ごしてきたんだなと、改めて思いました。

グランドサークルを走っていると、ふと目に留まる他の車たち。
すれ違ったり、同じ方向へ向かう車を見ていると、「この人たちもきっと、私たちと同じように旅をしているんだろうな」と思わず想像がふくらみます。
車のルーフにカヤックを積んだ一台を見かけたときは、「ああ、この人たちはパウエル湖でウォータースポーツを楽しんできたのかな」と、アメリカに在住していないとなかなかできないアクティビティも多いので、うらやましいと思いました。

グランドサークルを走っていると、キャンピングカーと何度もすれ違います。
しかも、日本で見かけるサイズとは桁違い。巨大なコンテナをけん引した大型のキャンピングトレーラーも多く走っていて、「まるで家ごと旅しているみたいだな」と、思わず見入ってしまいました。
おそらく、家族や友人同士での大人数の旅にもぴったりなんでしょうね。広々とした空間でくつろぎながら、好きな場所で停まって、食事も、休憩も、すべて自由。想像するだけでワクワクします。
グランドサークルを1週間で回る人もいれば、数週間〜1か月以上かけてじっくり巡る旅人も多いと聞きます。
そうなると、さすがに毎日ホテル泊では宿泊費もかなりのものに。長期で自然を楽しむ旅なら、キャンピングカーは理にかなったスタイルなんだなと、しみじみ感じました。
■Cameronで休憩と給油をする
ペイジを出発したのは、朝の8時半ごろ。
グランドキャニオンを目指して車を走らせ、1時間ほど進んだあたりで、Cameronという小さな町のはずれにあるガソリンスタンドに立ち寄りました。
この給油は、実は事前に決めていた計画のひとつ。
というのも、グランドキャニオン国立公園内はガソリンの値段が高く、スタンド自体も少ないので、旅の前に地図を見ながら「ここで給油しよう」とチェックしていたんです。ちょっとした準備が、旅をスムーズにしてくれます。

とはいえ、このCameronのガソリンスタンドも、当時はそれなりに高めの価格設定。
燃費のいい車ならまだしも、私たちのように燃費の悪い車での長距離移動となると、やっぱりじわじわとお財布に響いてくるのが正直なところです。
「旅のコスト」として、見えないけれど確実に積み重なるのがこの“ガソリン代”。
それでもこの広大なグランドサークルを走り抜けるには、やっぱり車は欠かせない存在。
景色の素晴らしさと引き換えに、少しばかりの燃料費も「旅の味」だと思うことにしました。
給油のついでに、併設のコンビニでスクランブルエッグとハッシュブラウンがぎっしり詰まった手作りのサンドイッチを購入。旅先のコンビニって、その土地ならではのメニューに出会えるのが楽しいですよね。
■いざグランドキャニオン国立公園へ

Cameronの給油所をあとにし、AZ-64号線へ。
この道はそのままグランドキャニオン国立公園・サウスリムへと続いていて、いよいよクライマックスが近づいてきた実感がわいてきます。
しばらく走ると、「Grand Canyon 27 miles」のサインが出現。
ここからはゆるやかな坂道をのぼりながら、標高をじわじわと上げていきます。
そして、運転のお供にさっきコンビニで買った朝食サンドイッチを片手に…。
が、これがまさかの衝撃的なまずさ。
中に入っていたスクランブルエッグはパサパサで水分ゼロ、
ハッシュブラウンは驚くほど無味。塩気すら感じず、あまりの味気なさに驚愕でした。
何とかならないかと、以前もらっていたケチャップの余りを絞り出し、味を足してみたところ、どうにか半分だけは食べることに成功…。
旅先では「どこで何を食べるか」が大切だと、改めて実感する出来事でした。
■「グランドキャニオン国立公園」の看板が見えてきた!

ゆるやかな上り坂を走っていると、目の前に突如として現れた「GRAND CANYON NATIONAL PARK」の大きな看板。
「ああ、ついにここまで来たんだ」――車内にふわっとした達成感が広がります。
もちろん、ここは恒例の集合写真ポイント!
看板の手前に車を停めて、旅の仲間たちと記念の一枚をパシャリ。これがまた、グランドサークルを旅している実感をより深めてくれる瞬間です。
思い返せば、ここまでにもいくつものビュースポットや小さな町をめぐってきて、そのたびに撮った集合写真の数もずいぶん増えました。
ブライスキャニオン、アーチーズ、キャニオンランズなど…それぞれの場所に、それぞれの表情が写っていて、見返すたびに思い出がよみがえりそうです。

看板での記念撮影を終え、再び車を走らせてグランドキャニオン国立公園の東側ゲートへ。
今回はサウスリムの東端から入園するルートを選びました。
この日は混雑もなくスムーズ。私たちは**「America the Beautiful パス(年間パス)」**を使っていたので、料金所では特に支払いもなく、そのまま通過。ほんの数秒の手続きで、いよいよあの雄大な大地へと足を踏み入れます。
ちなみにこの年間パス、1枚80ドルで1年間有効&車1台分でOKという優れもの。
もし持っていなければ、ここでの入園料は車1台あたり35ドルかかるので、数か所の国立公園をまわる予定がある人には圧倒的におすすめです。
グランドサークルの旅はまさにその「複数の国立公園を巡る」ルート。だから私たちにとっては、このパスは旅の相棒のような存在でした。
絶景の連続。断崖沿いを走りながらグランドキャニオンの中心へ
東側の入園ゲートを抜けると、いよいよグランドキャニオンの核心エリアへ。
目的地は公園の中心部、グランドキャニオンビレッジ。そこまではおよそ42キロの道のりですが、ただの移動では終わらないのがこの道のすごいところ。
ルート全体が大渓谷の断崖絶壁に沿って走る絶景ドライブコースになっていて、道中には大小さまざまなビューポイントが点在しています。
「もうすぐ中心部に着いてしまうのがもったいない」と感じてしまうほど、次々に現れる景色のインパクト。
私たちも、可能な限り車を停めて、ひとつひとつのビュースポットに立ち寄りながら、じっくりとグランドキャニオンのスケールを体感していきました。
ナバホポイント(Navajo Point)で出会った「時間の風景」

いくつかのビュースポットを巡る中でも、特に印象に残ったのがナバホポイント(Navajo Point)。
ここは、グランドキャニオン東部に位置する展望エリアのひとつで、コロラド川が何百万年もの歳月をかけて削りだした大地の壮大さを、ひときわリアルに感じられる場所でした。
谷底を流れるコロラド川が遠くに小さく見え、その川がこの巨大な渓谷の“作者”であることを、はっきりと視覚的に理解できる。
気が遠くなるような時間の中で、静かに、確かに形づくられてきたこの景色には、言葉を失うほどの説得力があります。
視界いっぱいに広がる地層の重なり、色彩のグラデーション、そして空とのコントラスト――。
自然がつくり出した壮大な“芸術作品”を前に、しばらく無言でその風景を見つめてしまいました。
深さと広がりを感じる場所 ― リパン・ポイント(Lipan Point)

ナバホポイントを後にしてさらに進むと、次に立ち寄ったのはリパン・ポイント(Lipan Point)。
ここは、グランドキャニオンの中でも**特に渓谷の「深さ」と「複雑さ」**が際立って感じられる、圧巻のビュースポットです。
断崖の先端から見下ろす景色には、ただ「広い」だけでは語りきれない迫力があります。
何層にも重なる岩の断面、その奥深くを蛇行するように流れるコロラド川の姿が、はるか下方に確認できるのです。
特に印象的なのは、西へと流れていくコロラド川をまっすぐに見渡せるその角度。
この視界の抜け感は他の展望ポイントではなかなか味わえず、まさに唯一無二の光景。
ただ美しいというだけでなく、何か地球の本質のようなものを垣間見た気がして、しばらく立ち去れずに眺めてしまいました。
見落とせない静かな絶景 ― Pipe Creek Vista(パイプ・クリーク・ビスタ)

グランドキャニオンビレッジに近づく頃、少し静かな空気をまとったPipe Creek Vista(パイプ・クリーク・ビスタ)にも立ち寄りました。
ここは、他の有名なビューポイントに比べて少しマイナーな存在かもしれません。でも、実はとても印象的な絶景スポットです。
ビスタは少し奥まった崖の先端に位置していて、視界がひらけたその先には、Pipe Creek(パイプ・クリーク)によって削られた谷が、中央のコロラド川へと合流していく地形が広がっています。
この場所ならではの特徴は、なんといってもその奥行き感と立体感。
目の前には切り立った断崖絶壁、そしてその向こうには、いくつもの渓谷が折り重なるように広がっていき、視線は自然と遥か遠くへと誘われます。
観光客の少ない静かな場所だからこそ、自然のスケールをじっくりと感じることができる。
有名どころばかりが注目されがちですが、だからこそこの**Pipe Creek Vistaは、ぜひ立ち寄ってほしい“隠れた名所”**だと思います。
世界の中心に立つ感覚 ― Yavapai Point(ヤバパイ・ポイント)

そしてついにやって来たのが、グランドキャニオンの定番ビュースポット、Yavapai Point(ヤバパイ・ポイント)。
ここはまさに、グランドキャニオンのパノラマを体感するための“王道中の王道”。初めて訪れる人にとっても、何度目かの人にとっても、やっぱり圧倒的な感動があります。
目の前に広がるのは、180度に渡る壮大な大渓谷。
視線の先には、谷底を流れるBright Angel Riverが見え、その川の流れが遠く反対側のノースリム(北側の崖)まで続いている様子を一望できます。
そのスケール感は、ただ「大きい」という言葉では足りず、**「世界の中心に立っているかのような雄大さ」**を感じさせてくれます。
そしてもちろん、写真欲が止まらない!
風景を切り取るたびに、「これも撮りたい、あれも撮りたい」と夢中になってしまい、気づけばカメラのバッテリー残量とメモリーカードの容量が不安になるレベル。
でも、そんな心配を忘れさせるほど、どこを撮っても絵になる場所なんです。
■■サウスリムのビュースポットの詳細はグランドキャニオン国立公園の穴場ビュースポットとは?|サウスリムの秘境
歴史あるロッジへチェックイン。そして、もうひとつの絶景へ
グランドキャニオンのビュースポットを巡りながら、ついにサウスリムの中心地へ到着したのは、午後3時ごろ。
ちょうど良いタイミングで、今夜の宿となる**「Bright Angel Lodge(ブライト・エンジェル・ロッジ)」**へチェックインの手続きをしに向かいました。

施設の手前付近に停車していたグランドキャニオン鉄道のような列車が!
「次は鉄道で来てみるのもいいかも…」
そんな思いがふと頭をよぎります。ゆったりと走る列車に揺られて、グランドキャニオンまで向かう旅も、きっと格別な体験になるはず。

シカたちが私たちのすぐそばに!
遠くから見えるだけかと思いきや、本当に近くまで来ていて驚きました。こちらを警戒する様子もなく、草を食べたり、のんびり歩いていたり。
この森林に囲まれた国立公園内は、まさに動植物たちの楽園。野生動物が人の生活圏にこれほど近い距離で共存している姿に、自然の豊かさと尊さを感じずにはいられませんでした。
■ようやくブライトエンジェルロッジに

このロッジは、グランドキャニオン開拓初期の時代から残る歴史ある建物で、石造りと木のぬくもりが調和した、どこか懐かしくて温かみのある雰囲気が魅力です。
まるでこの大自然の中に、自然と馴染むように建てられているその佇まいは、「国立公園に泊まっている」という特別感をじわりと感じさせてくれます。

Bright Angel Lodge の外観だけでなく、建物の中に一歩足を踏み入れた瞬間もまた、印象的でした。
内装は、太くしっかりとした丸太で構成されていて、木の香りとぬくもりに包まれるような空間。
まるで山小屋のような素朴さがありながら、どこか重厚で歴史の重みも感じさせる、そんな**「味わい深さ」と「暖かみ」が共存した雰囲気**です。
ただ、このときはまだ部屋の準備が整っておらず、鍵の受け取りはもう少し先とのこと。
そこで私たちは先に手続きを済ませて、駐車場に車を停めたまま、シャトルバスを使って西側エリアのビュースポット巡りへと向かうことにしました。
一日中動いてきたはずなのに、まだ見たい景色がある。
それだけ、この場所には「今しか見られないもの」が詰まっているということなのかもしれません。
バスに乗りハーミットロード沿いのビュースポット巡り
ブライトエンジェルロッジで無事にチェックインを済ませたあと、少し周囲の景色を眺めながら歩いて、ハーミットロードの始点にあるシャトルバスの停留所へ向かいました。

停留所にはすでに何人かの観光客が並んでいて、みんなワクワクした様子。

そこにやってきたのが、大きくて存在感のあるシャトルバス。
側面には緑のストライプが入り、「Grand Canyon」のロゴがしっかりと描かれたデザイン。まさに“国立公園の公式バス”という印象で、見た瞬間にテンションが上がりました。
このハーミットロードは、終点の**Hermit’s Rest(ハーミッツ・レスト)**まで続く絶景ルート。夏のシーズン中はシャトルバスでしかアクセスできないため、観光客も比較的少なく、静かに景色を楽しめる穴場的なエリアです。
バスに乗ったのはすでに15時を過ぎた頃だったため、全てのビュースポットを巡る時間はありませんでしたが、それでもいくつか印象に残る景色に出会うことができました。
陽が傾きはじめ、キャニオンの地層が刻一刻と色を変えていく様子は、言葉では表せないほどの美しさ。
時間の制約がある中でも、限られたひとときだからこそ心に残る景色というのがあるんだなと、しみじみ感じました。
マリコパ・ポイント(Maricopa Point)— 天空へと続くスリリングな道

ハーミットロードの序盤に位置するMaricopa Point(マリコパ・ポイント)は他のビュースポットとは一味違った特別な感覚がありました。
もちろん展望エリアからの眺めも素晴らしく、コロラド川が刻んだ大地の広がりを一望できます。
ただ、ここでもっとも印象に残ったのは、展望エリアに向かうあの一本道でした。
両サイドがまさに断崖絶壁。柵も最小限で、足元から谷底までの深さを想像すると思わず息を飲みます。
そのまっすぐに延びた道を歩いていると、まるで空の上を歩いているような不思議な感覚に包まれました。
まさに**「天空の道」**と呼びたくなるような場所。風の音と自分の足音だけが響く中、壮大な開放感とスリルを同時に味わえる、他にはない体験でした。
Hopi Point(ホピ・ポイント)は見晴らしの良い展望スポット

グランドキャニオンを訪れるなら、絶対に外せない展望スポットの一つが Hopi Point(ホピ・ポイント)。実際に足を運んでみて、その人気の理由がよくわかりました。
ここHopi Pointでは、見晴らしの良さが抜群! 目の前には広大な大渓谷がどこまでも広がり、角度を変えるたびに異なる表情を見せてくれるんです。
とくに印象的だったのが、谷の深さがはっきりと感じられる遠近感。地層の重なりや影のコントラストもとても美しく、まさに自然がつくり出したアートを堪能しているようでした。
日が傾く時間帯に行くと、光と影のドラマがさらに濃くなって、本当に感動的。写真では伝えきれないこの景色、ぜひ自分の目で見てほしい場所です。
静けさと絶景が広がる「Pima Point(ピマ・ポイント)」へ
グランドキャニオンの西端、ハーミットレストへ向かう途中にある「Pima Point(ピマ・ポイント)」。ここは、その手前にあるビュースポットのひとつで、崖の先端からはコロラド川をはっきりと見渡すことができます。
展望エリアは広々としていて、様々な角度から雄大な大渓谷を楽しめるのが魅力。しかも、観光客が比較的少ないため、混雑を気にせず、静かな時間の中で景色と向き合える、まさに穴場スポットです。
特におすすめしたいのは、夕暮れ時。地平線に沈んでいく夕日と、それに照らされて赤く染まる大渓谷のコントラストは、息をのむほど美しく、言葉では言い尽くせないほどの感動が広がります。
ブライトエンジェルロッジに戻り、レストランで食事タイム
ハーミットロードをシャトルバスで戻ってきた頃には、もう夕方5時を回っていました。
日が傾きはじめるグランドキャニオンは、また一段と美しく、まるで絵画のような景色が広がっていました。
今日は本当に、グランドキャニオンのいろんな表情を堪能できた一日でした。
展望スポットごとにまったく違う風景が見られて、どこも息をのむような美しさ。写真では伝えきれない迫力に、ただただ感動です。
駐車場に戻って車から荷物を取り出し、今夜の宿へと向かいました。
■今夜の宿は「Rim Cabins」

今夜の宿は、グランドキャニオンの崖沿いに建つ「Rim Cabins」という集合ロッジタイプの宿泊棟でした。
なんといっても魅力はそのロケーション!部屋を一歩出れば、すぐそこにリム(崖の縁)が広がっていて、朝晩問わず気軽に絶景を楽しめるんです。
荷物を部屋に置いてひと息ついたあとも、ふらっと外に出るだけでグランドキャニオンの圧倒的な景観を眺められるなんて、本当に贅沢な体験。
アクセスの良さはもちろん、自然と一体になれるこの感覚がたまりません。
■暖かみのあるお部屋で、ほっとひと息

お部屋はコテージ風の造りで、木のぬくもりを感じられるような、どこかほっと落ち着ける雰囲気。
シンプルながらも暖かみがあって、外でたっぷり自然を満喫したあとにぴったりの空間でした。
バスルームも比較的広めで、確かに少し年季は感じるものの、清掃がしっかり行き届いていて清潔感がありました。
こういう細やかなケアがされていると、それだけで居心地がぐっと良くなりますよね。
それにしても、国立公園の中に泊まれるなんて、本当に贅沢なことだなと改めて実感。
大自然のすぐそばで過ごす夜…それだけで特別な旅になりました。
■夕食は「Harvey House Cafe」で

荷物を部屋に置いて、ひと息つく間もなく、夕食へと出発。
というのも、園内のレストランは混雑することが多いと聞いていたので、早めに行動することにしました。
向かったのは、ブライトエンジェル・ロッジにある「Harvey House Cafe」。
カジュアルで利用しやすい雰囲気のお店です。
17時半前に到着したのですが、すでに店内はなかなかの混み具合。
それでも、待ち時間は10分ほどと短く、すぐに名前が呼ばれて席に案内されました。
「まだ早い時間だから空いてるかな?」なんて思っていましたが、予想以上の人気ぶりにびっくり。


お店の看板メニューはその名も「Fred Hervey Burger」。せっかくなので、迷わずそれを注文!
出てきたバーガーは、見るからにボリューミーで食欲をそそるビジュアル。
肉厚でジューシーなパティの上には、塩気の効いたクリスピーベーコン、さらにサクサク食感のオニオンリングがトッピングされていて、一口ごとに満足感たっぷり。シンプルながらもしっかり個性があって、本当に美味しかったです。
付け合わせのフレンチフライも、外はカリッと中はホクホク。気がつけば、あっという間に完食していました。
夕暮れのリムトレイルで絶景に出会う
Fred Hervey Burgerでお腹を満たしたあとは、Bright Angel Lodgeの裏手にある「リムトレイル」へ。ちょうど夕暮れ時だったので、夕日を眺めながらのんびり散策することにしました。

太陽はすでに地平線近くまで沈みかけていて、グランドキャニオンの複雑な地形がオレンジ色に染まる光景は、息をのむほど美しかったです。
まるで自然のキャンバスに描かれた壮大な絵画のようで、時間がゆっくり流れているような感覚になりました。
風はやや強めで、標高は2,000メートル以上。5月上旬とはいえ、肌寒く感じるほどの気温でしたが、不思議と寒さは気にならず。それほどまでに、この景色の迫力と美しさに心を奪われていたのだと思います。
周りの観光客たちも、思い思いに夕日の景色を楽しんでいて、とても穏やかな時間が流れていました。
少し早めの夕食にして大正解。こんなにも素晴らしい風景に、心から「来てよかった」と思える瞬間でした。
冷えた身体をギフトショップでほっこり温める
夕暮れのリムトレイルで絶景を堪能したあとも、名残惜しくてしばらくその場にとどまっていました。
ですが、さすがは標高2,000メートル超のグランドキャニオン。風は容赦なく吹きつけ、30分も外にいれば身体もすっかり冷えてしまいます。

そろそろ限界…ということで、近くのロッジへ小走りで避難。
入ったところは偶然にもギフトショップでした。

これがまた意外と広くて、お土産の品揃えもとっても充実!
Tシャツやキャップ、マグネットにマグカップなど、どれも「THE・グランドキャニオン」なデザインで、旅の記念にぴったりなものばかり。
私はシャツと帽子、そして冷蔵庫に貼る用のマグネットをいくつか購入しました。
旅の途中で立ち寄るお土産屋さんって、なんであんなにワクワクするんでしょうね。
絶景で冷えた身体をほんのり温めながら、旅の思い出がまたひとつ増えた瞬間でした。
深夜の満天の星空、リムトレイルを歩く
ロッジに戻ったあとは、みんなそれぞれの時間を過ごし、やがて部屋の中は静まり返りました。
せっかくグランドキャニオンに来たのだから、また一味違った楽しみ方をしたいと、外にでて満天の星空を見に出かけました。
向かったのは、昼間と夕暮れにも訪れたリムトレイル。
気温は5℃以下。風も少しあり、日中とは比べ物にならない寒さでしたが、グランドサークルの旅で準備していた防寒具をしっかり着込んで出発。

夜のリムトレイルは、まるで別世界。
昼間は観光客でにぎわっていた道も、人影はなく、静寂に包まれていました。
聞こえるのは風の音と、自分の足音だけ。
足元にはかすかな照明、そして頭上には満点の星空。
この地球とは思えないような雄大な景色を前に、ただひとり立ち尽くす時間は、言葉にできないほど神秘的で心に残るものでした。
グランドキャニオンは標高が高く、空気もとても澄んでいるため、星空観測にはまさに理想的な場所。
それは事前に知っていたし、ある程度は期待していたのですが——実際にこの目で見た景色は、そんな予想をはるかに超えていました。
星が、空に「ある」というより「降ってくる」ような感覚。
天の川もはっきりと見えて、都会ではまず味わえない、圧倒的な宇宙の存在感を感じることができました。
「これだからグランドキャニオンは面白い。」
そんな言葉が自然と浮かびました。
昼の絶景、夕暮れの渓谷、夜の静寂、そして満天の星。まるで別々の世界を旅しているかのようです。
正直なところ、かなり寒かったし、睡眠時間も削っての外出でしたが——それでもこの瞬間は、何ものにも代えがたい貴重な体験になりました。
旅の疲れも寒さも忘れ、ただ星空に見入っていた、あの時間。
きっとこの先もずっと、心に残り続けると思います。
次回はいよいよ、旅の締めくくりへと近づくラスベガス編。
再び都市の光が迎えてくれることでしょう。
■10日目の食事内容
- ホテルでコンチネンタルブレックファースト
- 道中社内で美味しくないサンドイッチ
- Fred Hervey Burgerで夕食
■10日目の走行距離:

137マイル(219キロ)
■10日目の総歩数:
14,209歩(10.49㎞)